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ミサイル実験は過去最多の38回、第二子の“お披露目”…北朝鮮の元外交官が語る、「金正恩が狙っているモノ」

ミサイル実験は過去最多の38回、第二子の“お披露目”…北朝鮮の元外交官が語る、「金正恩が狙っているモノ」

太永浩議員インタビュー

2023/01/20
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 もし、核実験を行うとすれば、それは金正恩が望む中国からの経済支援が十分ではなくなった時です。中国は北朝鮮の核実験を抑えている代わりに北朝鮮へ食料支援などを行っています。

 北朝鮮は米国と中国の間で核実験というカードを巧みに使っています。ただ、北朝鮮は、この核実験という“カード”を使ってしまうと残っている有力なカードはありませんから、そう簡単には使えないでしょう」

――北朝鮮の核実験に中国が介入しているということですが、中国は北朝鮮の核というカードをどう使っているのでしょう? 

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「米国は第7次となる北朝鮮の核実験は絶対に許さないとする立場で、中国はその北朝鮮をコントロールできることを示す絶好のカードとして、北朝鮮の核実験を抑えている。

 そして、中国は昨年10月の第20回党大会で台湾を武力でも統一できるという趣旨に党規約を修正しました。中国は台湾有事の際、最初に出動するのが在韓米軍だとみなしています。そのため、在韓米軍を韓国に留め置くのに都合がいいのが北朝鮮の動きなのです。中国にしてもこんな都合のいいカードをそう簡単には捨てないでしょう」 

韓国・新大統領の「対応」の成果は?

――韓国では昨年5月に尹錫悦大統領が誕生して、現在、北朝鮮の挑発に対し、同種同量の処置で対応する「比例対応を原則とした処置」が行われています。野党「共に民主党」などからは、「北朝鮮を刺激する」といった批判がでていますが、昨年を振り返ってこの処置をどう評価されますか?

「前出の報告書でもっとも注目すべき点は、実は北朝鮮軍部の人事が一掃されたことでした。序列1位を解任し、その下の国防相らも一掃されています。彼らは昨年6月、尹政権誕生後に新たに任命された、作戦に長けた頭脳明晰な人材とされていました。それをたった半年で代えた。これは、問責人事の意味合いが強い。

 金正恩が思うような成果が得られなかったという証左で、これは、韓国の比例対応原則が効果を発揮していることを表しています。比例対応原則により、金正恩すら気がつかなかった北朝鮮軍の脆弱性が明るみに出ました」

――例えば?

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