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「連載2本&サラリーマン(課長)」を両立させる“ただ1人の漫画家”! 40歳の新人・ピエール手塚が「超多忙でも〆切を守る」理由

「40歳、新人漫画家」の生存戦略 #1

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往復の通勤電車で立ったまま描くことも

――作画はともかく、ストーリーを考えるのは「手を動かしてさえいれば終わる」というものではありませんよね? ネームでアイデアが浮かばず、作業がズレ込んで苦労することはありませんか?

ピエール手塚 ネームでてこずることはありますが、期日までに出来たものをとりあえず編集さんに送るようにしています。ひとりで悩んで時間をずるずる使っちゃうよりは、「いったんここまで」と決めて、あとは客観的なアドバイスをもらったほうがいいと思っています。

――そこで「編集者にいったん渡す」という判断ができる作家は意外と貴重ですよね。ひとりでドツボにハマっていく人も多いので……。

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ピエール手塚 そこは会社員としての経験が関係しているかもしれません。「完璧じゃないとしても、今あるものをいったん投げたほうが先方的には安心する」と理解しているので(笑)。

――会社で残業が続いたりして、じっくり漫画を描く時間がとれないときはどうしていますか?

ピエール手塚 実は通勤電車の中でiPadで作業しています(笑)。会社に向かう電車で2コマ、帰りの電車で2コマ描けば、あとは帰宅後に1コマだけ描けばノルマ達成です。座席に座れないときは、電車の入り口付近は人の出入りが多いので、連結部に近いポジションがおすすめです。

電車で漫画を描いている男を見かけたら、それはピエール手塚かもしれない(画像:本人Twitterより)

――特徴のある絵柄ですし、電車で作業していると身バレしませんか?

ピエール手塚 この前ついに気づかれて、「たぶんピエール手塚さんが原稿描いてた」とツイートされました(笑)。通勤中など、生活のスキマ時間を可能な限り漫画に当てています。外食して料理が出てくるまでに1コマ、自炊するときも食材を煮ている最中に1コマとか。もともと描くのが早いほうだとは思いますが、5分でも時間があれば作業しています。