きょう2月13日は、女優の有村架純の誕生日である。1993(平成5)年生まれの25歳。昨年(2017年)はNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』でヒロイン・谷田部みね子を好演し、大晦日には2年連続となる紅白歌合戦の紅組司会を務めた。
出身は兵庫県伊丹市。空港の街ということで、2010年のデビュー直後、コミック誌『ヤングジャンプ』のグラビア初登場時には、有村が上京するときに乗るはずの飛行機を背に撮影した(細野晋司『グラビア美少女の時代』集英社新書)。これまで演じてきた役にも、不思議と“上京少女”が多い。連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)では、東北の片田舎からアイドルを目指して上京するヒロインの母親の若き日を演じた。出世作となったこの役について、本人は《自分もオーディションを受けて「東京に行きたい!」って気持ちだったから、もう重なって重なって》とのちに語っている(『週刊文春』2015年4月23日号)。その後主演した『映画 ビリギャル』(2015年)も、名古屋の女子高生が東京の名門私立大学を目指すというストーリーだった。そして2度目の朝ドラとなった『ひよっこ』では、高度成長期に茨城から東京に集団就職したヒロインを生き生きと演じてみせた。
『ひよっこ』の劇中、ヒロインのみね子は何かとタヌキにたとえられていた。たしかに有村の風貌は、タヌキを思わせるところがある(若い女優さんを捕まえてこんなことを書くのは失礼ではありますが)。彼女が幅広い層から親しまれるのも、その風貌に加え、しっかり役をつくって“化けて”も、タヌキのようにしっぽ=素の部分をどこかでのぞかせる愛嬌ゆえではないだろうか。
『ひよっこ』の出演依頼を受けたとき、有村は《また朝ドラの現場を経験させて頂くことで、自分の中でもう一段階成長することが出来るんじゃないか、何かが変わるんじゃないか。そう思って、喜んでヒロイン役を引き受けさせていただ》いたという(『文藝春秋』2017年8月号)。その言葉どおり、彼女は同作により確実にステップアップした。現在は、主演を務める映画『かぞくいろ』(吉田康弘監督)が、年内公開に向け撮影中だ。その役どころは、死んだ夫の連れ子を育てるシングルマザー。先ごろ撮影現場で行なわれた会見では、《私は今月(2月13日)で25歳になり、母親役を演じられる年になったんだなと思いますし、自分の演じる役の幅が少し広がる年齢になったんだなあとも実感し、とても嬉しく思っています》と語った(「映画.com」2018年2月6日)。役を通じて“化け続ける”有村から今後も目が離せない。