先日、半年間の放送を経てラストを迎えたNHK連続テレビ小説『ひよっこ』。舞台となった奥茨城で主人公みね子を送り迎えした、バス車掌・益子次郎役の松尾諭さんに『ひよっこ』の日々を振り返っていただきました。
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ロケ地では「食え食え攻撃」の格好の的でした
――最終回の日は「ひよっこロス」が日本中を包み込んだ感じでしたが、松尾さんにも「ひよっこロス」はありましたか?
松尾 もちろん喪失感はあるんですけど、それよりも奥茨城でロケをした日々が遠くなったなあという感じが大きいですね。
――茨城ロケはどんな場所で行われたんですか?
松尾 茨城の県北部・高萩市で、まさに奥茨城と言っていい場所でした。東京からまあ遠いんですよ。ロケの前日に日立市に泊まって、そこからバスで1時間。朝の3時半にホテルを出て、日が昇り始める5時半から撮影を始めるようなスケジュールでした。
――田んぼがあって、あぜ道があって、日本の原風景みたいな場所でしたよね。
松尾 朝行くと靄がかかっていて、「どこや、ここ」という感じの別天地でした。鳥のさえずり、木々の音、朝露が落ちる音、いろんな音が聞こえるのも印象的で。ごはんもおいしかったですね。仕度場所に家を貸してくださった方の料理が、うまくてうまくて。粕汁、しし鍋、ゼンマイの煮物。僕、こういうキャラなので、地元の人の「食え食え攻撃」の格好の的なんです。どこ行っても「食うでしょー」って言われて、めっちゃ食べさせられるんですよ。おいしいし、ありがたいんですけど、「まだ食えるでしょ」「甘いのは別腹別腹」って目の前の皿がいつまで経っても減らないんです。他のキャストやスタッフはどんどん現場に行っちゃうのに(笑)。