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「松尾さんの茨城弁、完璧でしたよ」

――北茨城交通のバス車掌として有村架純さん演じるみね子の通学や、里帰りを送り迎えする役どころでしたが、現場で有村さんとはどんな話をしたんですか?

松尾 僕は尼崎出身なんですけど、架純ちゃんも関西出身の子なので、現場で初めて会った時に、話しやすいかなと思って関西弁で話しかけたんです。そしたら「方言指導の先生に茨城弁が関西弁っぽいと言われて、今、関西弁を控えてるんです」っていうタイミングだったらしくて、あれは申し訳ないことしました(笑)。

益子次郎役の松尾さん。「ネコバスみたいって言われました(笑)」 ©NHK

――松尾さんは方言で苦労しなかったんですか?

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松尾 東京のバー「月時計」のマダム・邦子役をされた白石美帆さんが茨城県北出身なんですが、白石さんから「松尾さんの茨城弁、完璧でしたよ」って褒められて嬉しかったですね。茨城弁ってモニョモニョって感じなので、普段通り明瞭に喋らなかったのが良かったみたいなんです。言葉が明瞭でないってことは役者としてどうなんだろうという疑問もありますけどね(笑)。

――朝ドラは長いスパンでの撮影になると思いますが、有村さんがみね子同様「成長」していく感じはありましたか?

松尾 いや、「若いのにすごい」って思うばかりでしたよ。打ち上げの時にスタッフの方々が「架純ちゃんは一度も音をあげず、疲れた表情を見せなかったから、こっちも頑張れた」って口々に言っていました。朝ドラのヒロインは期待も背負うし、結果も求められるし、座長としてのムード作りも担うしで大変なんですよね。こっちはなんか、ふざけてばかりですいませんって感じでした。

木村佳乃さんと羽田美智子さんの噛み合ってないのに成立してる会話

――茨城ロケでは、木村佳乃さん、古谷一行さんといった谷田部家の面々との共演も多かったですよね。

松尾 木村さんは太陽のような人というか、ちょっと暑いわ、ってくらい元気な人なんですよ。そこに友人役でもある羽田美智子さんが入ると、お二人はずーっと喋ってるんですが、はたから見ていると二つの竜巻がワーッって渦巻いてるような感じなんです。でも、話をよく聞いてみると、恐ろしいことに会話が成立してないんですよ、お互い噛み合ってない話をしていて(笑)。なのに同じところで爆笑してたりして、あれはちょっと凄かったですね。

 

――凄いものを見ましたね……。古谷さんは初共演だったんですか?

松尾 はい、金田一耕助は見てましたけど、ご一緒するのは初めてで。顔合わせの時に「次郎役の松尾です」とご挨拶したら、「おーッ」って握手を求められまして、「この前、夜、見たよテレビで。女の人が上から落ちてくるドラマ」って仰るんですよ。「え、そんなんありましたっけ?」って動揺したんですけど、調べてみたら10年前くらいに出演した『トリハダ』ってホラー作品のことなんです。なんでまた自分もすぐに思い出せないようなドラマを古谷さんがご覧になってるのか、全くもって謎でしたが、ありがたかったですね。