昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「いいよいいよ、逃げてもいいよ」と伝えてくれた、今年のテレビドラマ3本の傑作

それは、石田ゆり子の一言からはじまった

2017/12/29

 予算縮小、コンプライアンス厳守、視聴率低下……日本のテレビ業界を取り巻く言説は、ここ長らくネガティブなトーンに包まれている。しかし、よーく目を凝らせば、心震えるような表現は今なおテレビジョンから生まれているということに気づくだろう。とりわけ、近年のテレビドラマは抜群におもしろい。困難な時代に呼応するように、わたしたちの傷をそっと包み込むような多様な価値観が花開いている。その最大風速が記録されたのは、やはり2016年の大ヒット『逃げるは恥だが役に立つ』だ。「普通ならばこうあるべき」というレッテル貼りを“呪い”と名付け、

《そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい》

 と視聴者に向けて言い放った石田ゆり子の美しさは今なお視聴者の脳裏に焼き付いていることだろう。この石田ゆり子が蒔いた種に、呼応するような傑作が、2017年においてもいくつか誕生している。

「逃げ恥」で土屋百合役を演じた石田ゆり子 ©杉山秀樹/文藝春秋