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西武の本拠地・ベルーナドームの“空き看板”が寂し過ぎるので善後策を考えてみた

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 豊かな丘陵・狭山、狭山湖に源を発する清流・柳瀬川、自然との共生成功ドームとして誉れ高い我が埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドーム。そのベルーナドームで若干頭の痛い問題が発生しています。それは街の廃墟感をマシマシで加速させることでおなじみの「空き看板」です。どんなにオシャレなビルでも屋上に「広告募集中」という白くて大きな看板が設置されていたら「寂れているなぁ」と思うアレ。あの空き看板と同じシステムの広告が、今季のベルーナドームには登場したのです。ただでさえ山小屋っぽいと評判のベルーナドームに空き看板が登場したとあってはいよいよ廃墟感も待ったなし。これは見過ごすわけにはいきません。

「キャンペーン中!\最大30%OFF!/球場広告」と空き看板システムで球場広告を募集する球場広告

希少な広告スペースのはずが「空き看板」と化したベルーナドームのバックネット

 今回ベルーナドームで空き看板システムが登場したのは、野球中継でもっとも目に入る位置として名高いバックネットの広告スペースです。一説には1億円単位の料金がかかるともされる人気の広告スペースで、昨今は各球団ともこのスペースを最大限活用しようとギッチギチのガッシガシに広告を入れてきています。

 ベルーナドームの場合は、バックネット裏には「アメリカン・エキスプレス プレミアムラウンジ」なるVIP向けのラウンジがあるため、バックネットの広告スペース自体が手狭なのですが、それでも残された希少なスペースを何とか開拓して企業様にお届けできるよう今季から新たに追加されたのが、右打者の背後に見えるLED看板です。

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 しかし、いざオープン戦が始まってみると、そのスペースに表示されたのは何と「最大30%OFF!法人広告キャンペーン中!」という球場広告の球場広告だったのです。広告出稿は企業間のBtoB営業(※仲良し同士でだけ通じる金の無心)でよしなに合意に至るものだとばかり思っていたので、「球場で募集するんだ」「空き看板と同じシステムで」「看板を見て連絡する企業あるのかな?」とビックリ。その後も「最大23万分特典付 法人シーズンシートキャンペーン中!」「キャンペーン中!法人限定ライオンズスイート」などのBtoB自社広告群によって、新たに追加したスペースの大半は埋められていたのです。

 その状況はシーズン開幕を迎えても変わらないどころか、開幕戦の始球式~2023年シーズンの開幕初球という非常に注目度の高い場面で、フォントがより大きくわかりやすくなった「キャンペーン中!\最大30%OFF!/球場広告」の球場広告を堂々表示するなど、空き看板システムは一層加速していきます。

 そして迎えた5月中旬、この空き看板システムをさらに積極的に活用したのが、夏の恒例イベント「ライオンズフェスティバルズ2023」を見据えたスポンサー企業募集の広告でした。「ライオンズフェスティバルズ2023スポンサー企業募集中!一次〆切5.31WEDまで」という球場広告で、この球場広告が出ている球場広告スペースに球場広告を出してくれる球場広告スポンサーを募集するという「卵とニワトリ」みたいな構造の球場広告には、頭がちょっと混乱してくるようです。

マンション販売で言えば「建物内モデルルーム」みたいな概念かな?

 スポンサー募集用のウェブサイトを見れば「なくなり次第終了!お急ぎください」と企業の担当者を焦らせるような言葉が書いてあるのに、スポンサー募集の球場広告は一次〆切を標榜する5月31日付近まで順調に表示されつづけます(※途中からちょっと面積が大きいバージョンも登場)。こうなってくると「そこで募集するんかい」という驚きと「去年までどうやっていたんだ」という謎だけでなく、バックネット広告の効果自体に疑問符がついてしまいかねません。

 なるほど、空き看板が白地に「広告募集中」とだけ書いたやる気ない感じなのはちゃんと理由があるんだなと思いましたよね。熱心に広告出稿を募集しちゃったら、熱心な募集が出ている=必死にアピールしているのに誰も応募してきていない=広告効果がないと思われる、わけですからね。本気で募集する気配を見せずに「ココ空いていますよ」とだけ伝えるのが適切なサジ加減だったのです。

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