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髪がコンクリ化して、ノコギリで切るしかない…看護師が閉鎖病棟で見た「統合失調症の陰性症状」の実態

source : 提携メディア

genre : ライフ, 働き方, 社会, 医療

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寝たきりの高齢者などに起こるもので、若い人に褥瘡ができることなど、普通はほとんど考えられません。

しかし陰性症状が強いケースでは、若くても褥瘡が心配されるほど動かなくなってしまう人もいるのです。

私が経験した陰性症状が強い患者さんで、入院するまで自宅で長い間、引きこもっていて、約10年間一度も入浴していない方がいました。

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入院してから入浴させて髪の毛を洗おうとしたのですが、髪の毛がまるでコンクリートのように固まってしまっていてまったく洗うことができませんでした。

ノコギリを使って髪の毛を切り取った

おそらく頭皮の脂などがこびりついて固まり、それが少しずつ積み重なってコンクリートのようになってしまったのだと思います。

伸びきってカチカチになった髪の毛を切ろうと思いましたが、とてもハサミが入りません。

最終的にはノコギリのような刃物を使って少しずつ髪の毛を切り取り、頭をぬらし、ふやかしてまた少し髪の毛を切るということを何度も繰り返して、なんとか髪をカットすることができました。

精神疾患をもつ人は宗教に勧誘されやすい

ほかにも宗教が絡んでいるケースも多く見られました。

精神疾患をもつ人は宗教に勧誘されやすい傾向があるほか、病気に悩んだ結果、親が入信してしまうケースもあります。

宗教の教義によっては治療が難しくなるケースもありました。

例えば輸血を拒否する宗教などが知られていますが、輸血ではなくて投薬を拒否する患者が入院してきたケースもありました。

あるとき入院してきた患者の家族はお酒で病気を治すという宗教の教義に従っていて、治療に薬を使わないように要求してきたのです。

しかし精神科の治療というのは大半が薬物治療です。投薬を拒否されたら有効な治療を行うことは不可能です。結局、その患者は早々に退院となりましたが、最後まで家族と何度も交渉することになりました。

看護師に対して敵意をむき出しにすることも

攻撃的な患者さんや、看護師に対して敵意をむき出しにする患者さんをケアし続けることは簡単ではありません。

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