文春オンライン

選択肢は多すぎても選べない…クラフトビールを100種揃える店が繁盛するためにボードに書くべき言葉とは

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, 社会, 経済

note

しかし、選択肢が11本以上になると購入率は下がります。選択肢が20本まで上がった際は、選択肢が2本しかなかった場合より、購入率は減っています。

もちろん、商品の種類やネットか店頭かなどの購買環境、また顧客層によって、適切な選択肢の数は変わります。自分の商品はどれぐらいがベストか意識的に考慮してみるといいでしょう。

「本日のビール」が消費者を動かす科学的根拠

選択肢が多いほうが人は集まりやすい。しかし、多すぎると今度は選択オーバーロードになり、どれも選べなくなってしまいます。ですから、もしあなたがこのことをビジネスで生かそうと思ったら、「マーケティング」の段階と「店頭」での段階とで、選択肢の出し方を変えるべきです。

ADVERTISEMENT

例えばあなたがバーを経営していて、そのバーの売りが「クラフトビールの種類の豊富さ(100種類のビールがある)」だとしましょう。こういった場合、この売り自体は生かすべきです。販促など、集客をする段階では存分に「クラフトビールが100種類あります」と謳いましょう。人が集まりやすくなります。

しかし、いざお客さんが来る店内で「クラフトビールが100種類あります」だけだと、選択オーバーロードに陥らせてしまいます。

対策としては、ビールの種類や味、アルコール度によって種類分けし、見やすく整理するのもいいのですが、“軽くつつく”を意味する「ナッジ理論」という理論も有効です。例えば、「本日のビール」「人気ビール」などのおすすめを作るという方法です。

また、顧客の気分によって意思決定できるよう、「気分爽快になりたい方は、このビールをどうぞ」とおすすめするのも良いでしょう。「これがおすすめですよ」と“軽くつつく”ことで、顧客は100種類のビールをいちいち吟味せずにデフォルト(おすすめのビール)を選択し、「いいものを選んだ」と満足します。

人が物事を認知するときには、瞬時に直感的に判断する「システム1」と、じっくり考えて論理的に判断する「システム2」とがあり、それらを場面場面で使い分けています。