人が判断をくだすとき、先入観や偏りから陥りがちな「心理バイアス」がある。経営学、認知心理学、行動経済学から導き出された101の心理バイアスの中から、サービス業の方にぜひ知っていて欲しい「ピークエンド効果という心理」を紹介する。

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お・も・て・な・し

 人の評価もそうですが、消費者として受けたサービスの評価なども、必ずしもそのサービスを受けた期間の平均を反映するわけではありません。

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 サービス業などで実務的に意識されている効果の1つにピークエンド効果があります。これは下の図のように、最高値と最後の値の平均が印象を決めるという考え方であり、多くのサービス業で当てはまります。

ピークエンド効果の図

 言い方を変えれば、自社のサービスについて顧客に良い印象を持ってほしいのであれば、気分を高揚させるクライマックスを用意し、また最後の瞬間に力を入れるといいことになります。映画であれば、途中に非常に印象的なシーンを入れ、また最後に気分が高揚するシーン(あっと思わせるどんでん返しや、カタルシスを感じるシーンなど)を入れれば映画の評価全体も高まるというわけです。

 旅館などで宿泊するとバスで出発する際、スタッフが総出でお見送りをしてくれることがありますが、それは最後の高揚感を高める典型的な手法です。

 逆に、どれだけ料理そのものが美味しいレストランでも、最後の支払いなどでトラブルが起これば、そのレストランの評価も一気に下がってしまうでしょう。