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韓国に惜敗 カーリング女子「銅メダル」獲得のために必要なこと

物語はまだ終わらない

2018/02/24
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 準決勝の日本対韓国戦。カーリングの魅力がぎっしり詰まった「傑作」だった。

 第10エンド、そして延長のエキストラ・エンドともに日本は不利な先攻ながら、スキップ藤澤五月は打てる手はすべて打ち、韓国にプレッシャーをかけた。

 あとは祈るのみ——という状況に持っていったが、勝利を決めた韓国のドローショットは見事だった。

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 仕方がない。でも、悔しい敗戦だ。

日韓のスキップ、藤沢五月とキム・ウンジョン ©共同通信社

見逃してはいけない「ストーリー性」

 カーリングは、2006年のトリノ・オリンピック以来、4年ごとに必ず話題にのぼるようになった「マイナー競技のなかのメジャー」であるが、なぜ、人気を博すようになるのか秘密がある。

 チームのストーリー性だ。 

 冬のオリンピックでは夏に比べて団体競技が少なく、チームの成長が見える競技がわずかだ。

 ところがカーリングでは、1試合2時間半かかるうえに、9試合も戦う「ラウンドロビン」(日本でいうところの「予選リーグ」)の中で、必ずといっていいほどチームのストーリーや、選手のキャラクターが浮かび上がってくる。

 感情の浮き沈み。体調の変化。選手たちのコミュニケーション。

 今回、日本の女子チームには「そだね〜」や「おやつタイム」に代表されるように、SNS時代に合致したサイドストーリーが話題になっているが、あくまで本筋はチームの「物語」にあり、そこを見逃してはいけない。

「おやつタイム」を終え選手を励ますフィフスの本橋麻里(左) ©getty

 日本はラウンドロビンで、韓国に唯一の土をつけ、スウェーデンには相手のミスを誘発させ、勝利を手にした。決勝に進んだ2チームにも勝ったのである。

 一方で、プレッシャーのかかるラウンドロビン最終戦のスイス戦では、自滅気味。敗れて相手のスイスの選手に慰められ、その後にアメリカが負けて準決勝進出が決まるというジェットコースター状態。

 そして準決勝では、弱点である「ナイーブさ」が出てしまった。

「しっかりして!」と年長のふたりを叱咤

 第10エンド、韓国のラストストーンが日本の石を弾き出そうとしたが、ヒットの角度が浅く、日本と韓国のストーンが動き出した。

 近くに残った方が1点を取る。

 カーリングでは、センターを横切る「Tライン」を超えたなら、相手の石をスウィープしても構わない。ところが、藤澤と吉田知那美のふたりは固まってしまい、動けなかった。

 負けた、とセルフジャッジしてしまっていたのだ。

 結果的には日本がナンバーワンを獲得したが、土壇場でナイーブさがのぞくあたり、まだ若いのだ(カーラーのピークは30代後半と言われている)。

 それでもその場面で、吉田の妹でリードの吉田夕梨花が、「しっかりして!」と年長のふたりを叱咤したというから、このあたりも日本の良さだ。