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「つば九郎は球団マスコットに安住していいのか?」ヤクルト“通販番組”の仕掛け人が激白

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/07/27
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 みなさんこんにちは。東京ヤクルトスワローズ広報部の三輪正義です。

 いつも選手を紹介しているこのコラムですが、今日は趣向を変えて「夏休み特別企画」をお送りします。「球団のお仕事探訪シリーズ」と銘打って、球団で働く人にフォーカスを当て、普段の仕事ぶりとその横顔を紹介したいと思います。

球団公式YouTube「つば九郎テレビショッピング」

 僕の大事な仕事のひとつに、球団公式YouTubeで不定期に配信している「つば九郎テレビショッピング」という“通販番組”の司会進行があるのですが、その仕掛け人がいるのをご存知ですか?

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番組ロゴを手にする筆者 ©三輪正義

 番組を見ている方にはおなじみ「かさいー」、実は、営業部商品販売グループ主事で、僕より2つ上の先輩社員にインタビューを敢行しました。そして「つば九郎テレビショッピング」(以下ショッピング)の裏側やグッズ開発の秘話を聞き出してきました!

最も忙しい部署の最も忙しい担当者

――前回の「ショッピング」では後ろ姿での出演でしたが、本名も顔出しNGなんですよね?

かさいー)つば九郎と三輪くんは僕を番組に出そう出そうと画策していますが、いちサラリーマンだし、黒子に徹したいと思っていますのでご容赦いただければ……。

球団職員のかさいー氏(似顔絵はつば九郎画)©三輪正義

――改めてお聞きしますが、球団ではどんな仕事をしているのでしょうか?

かさいー)いわゆる選手や球団グッズの開発や販売を担当しています。前職では球団とグッズ関係では取引がありましたが、野球とは全く関係ない業界で……。でも、7年ほど前、ヤクルト球団に就職し、いつの間にかグッズの商品開発、ディレクション、はたまたグッズショップの店長業務まで任されることになりました。

――現役のときは、選手やつば九郎のグッズは目に入っていたものの、そこに人が動いていることに意識せず、大変申し訳なかったのですが、実は、商品販売グループは球団のなかでは最も忙しい部署のひとつですよね。

かさいー)試合時はグッズ売り場を設営し、試合が終わればそれを撤収する。地方開催の試合では、東京から商品を持って行って、現場で仮設の店舗を設営して、試合の前後でそれを売って、片付けて、また帰ってくるという。昔はトラックを運転して遠征先を回っていたりしましたよ。

――当時は僕のグッズも積んで運転してたんですよね?

かさいー)はて? 三輪のグッズなんてあったかな……。

「つば九郎テレビショッピング」を始めたきっかけ

――そんなぁ(笑)。それはさておき、今や人気となったコンテンツ「つば九郎テレビショッピング」を始めたきっかけを教えてください。

かさいー)コロナがきっかけでした。20年の公式戦が無観客となるなか、球場でグッズが売れないとなって、ECの強化に乗り出そうと球団が考えていたとき上司に「なにかいい案ないのか?」と言われ、ひねり出したコンテンツです。

――僕が球団職員となった20年ですよね。でも一番最初の配信はシーズンオフの12月24日。あのつば九郎相手に司会進行をやってくれと言われて、とてもプレッシャーを感じたのを今でも覚えています。

12万回PVの記念すべき第1回配信(2020年12月24日)©ヤクルト球団

第1回配信から良い数字を売り上げた

かさいー)最初は既存のグッズをセット販売で売ろうと「冬の大感謝祭」的な感じで始めました。つば九郎にはサンタの格好をしてもらって、つば九郎の直筆サインを入れるなどして「付加価値」をつけた商品を紹介しました。全然反響は読めなかったんですが、配信されるや「即完売」の商品が相次いだので、その次の回からは「受注商品」を中心としたオリジナル商品の開発に乗り出しました。

――僕は数字には疎く、あとから知ったのですが、第1回から良い数字を売り上げた「ショッピング」。実は、収録中も必死でしたが、あんな拙い喋りの僕と、つば九郎のフィリップ芸だけで、お客様の反応と売上が動くことに愕然としました。

かさいー)つば九郎が選手と自撮りをして自身のブログなどに上げている「せるふぱちり」を前から知っていて、商品にしたかったんです。選手との写真でなにかグッズを作りたい。つば九郎に相談しOKをいただき、翌シーズンからはそれを作り「受注商品」として販売することにしました。

「せるふぱちり」を使用した最新商品 ©ヤクルト球団

――僕はかさいーさんのつくった「ペライチ」の商品ラインナップを読み上げ、進行しているだけなんですが、売れ筋のものってあるんですか?

配信のたびにエラーが起きないかヒヤヒヤ

かさいー)つば九郎のサイン入りグッズ特別セットを作ると、配信されたそばから完売します。サインを入れるぶん、つば九郎の手間がかかるので少し控え目に数を作るのですが、即完売。エラーが起きないか毎度ヒヤヒヤします。昨年は北野武さんが手がける「キタノブルー」ブランドとコラボさせてもらった、つば九郎がコマネチした絵柄のTシャツが再販売をしても即完でしたね。

――交流戦優勝など時宜を摑んだものもけっこう出しますしね。

かさいー)時節に合った「ライブ感」は大事にしています。つば九郎と三輪くんと私の3人の小ユニットでやっている企画なので、収録のときに「これはおもしろいんじゃない?」と思った商品や、組み合わせが作れ、即商品化できるのは強みですね。

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