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親分から涙目で「シャブ、やめられないのか?」と…シャブ中、売人、ヤクザを経験した元予備校生が、弁護士になるまでの道のり

諸橋仁智氏インタビュー#3

2023/08/26

genre : ライフ, 社会

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気がついたら精神科病院に措置入院

諸橋 2005年の3月、28歳のときですね。僕はその記憶がまったくないんですけど、服を脱いで、傘を振り回しながら交通整理をしていたと警察から聞かされました。

 というのも、気がついたら精神科病院だったんですよ。病院に措置入院させられてました。

――措置入院って、相当ですよね。

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諸橋 措置入院って、自傷他害の恐れがある場合に強制入院させることですからね。

 でも、1週間ほどで出されたんですよ。それって珍しくて、措置入院となるとなかなか出してもらえないらしいんですよね。

 まぁ、前々から警察にはマークされていたんでね。入院となると検査で尿や血を採って、任意提出で病院が警察に渡すんですよ。で、鑑定されて、その結果で逮捕となると。

「迎えに来れる家族は?」と聞かれ、実家の電話番号を

――病院から出て、どうされたんですか。

諸橋 僕をシャブから遠ざけろということで、渋谷の事務所へ出入りできなくなって。西国分寺のアニキのアパートで謹慎するように言われました。で、そこからまたおかしくなっちゃうんですよ。

 走ってる車のすべてがパトカーに見えたり、飛び降りようとしている警備員を見つけて慌てて止めに向かったら自分が飛び降りないように説得されてたり。病院でかなり強い精神薬を飲まされていたんで、いま思えばそれも影響してたんじゃないかって気もするんですけど。

 なぜか「10万円あれば、シャブを仕入れて、さばいて、元通りになれる!」って思い立って、タクシーを拾って友達の家を目指すんだけど「右行って」「左曲がって」と言ってグルグル回ってるうちに交番前で停められて「お巡りさん、このお客ヤバいです」って。

 警官に「タクシー代、払える人は? 迎えに来れる家族は?」と聞かれて、いわき市の実家の電話番号を答えました。

――誰が迎えに来たのでしょうか。

 

諸橋 母が東京の大学に通っていた従姉妹ふたりに連絡して、迎えに来てもらって。昔は「お兄ちゃん」なんて呼んでくれてたけど、ガラは悪くなってるわ、おかしなこと言ってるわで慄いてましたね。

 母が僕を引き取りに来るまでなんとか時間をつぶそうと、3人で立川の映画館で『ハウルの動く城』を見て。あれ、お城が煙を吐いてギッコンバッコン動いたり、少女が急にお婆さんになったり、怖い魔女が出てくるじゃないですか。見てたら、よけいに錯乱しちゃって。

――炎も喋りますしね。

諸橋 いまでも金曜ロードショーでやってたりすると、フラッシュバックみたいになって具合が悪くなりますね。それで母に実家へ連れられて、刺青を見られて「あんた、なにやってたの?」「ヤクザやってた」「どうするの、これから」「東京に戻って、ヤクザやめてくる」なんて話をして、翌日ぐらいにいわき市の精神科病院に入れられました。

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