文春オンライン

連載シネマチャート

通報装置が誤作動を起こしただけなのに…無実の黒人が白人警官に殺害された実際の事件を描く 「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」を採点!

シネマチャート

note

〈あらすじ〉

 元海兵隊員で、心臓病と妄想傾向の双極性障害を患っている初老の黒人男性ケネス・チェンバレン(フランキー・フェイソン)は、ニューヨークの治安の悪い地域に1人で住んでいる。

 2011年11月19日午前5時22分、彼の医療用通報装置が誤作動を起こし、5時30分、安否確認のために3人の白人警官が到着する。しかしケネスは緊急事態ではない、心配は無用だと説明してドアを開けることを拒絶。すると、警官たちはケネスが部屋に何か隠していると疑い、力ずくでドアを開けようとするが――。

〈解説〉

 無実の黒人が白人警官に殺害された実際の事件が題材の、リアルタイム型サスペンス。デヴィッド・ミデル監督の長編第2作。第31回ゴッサムインディペンデント映画賞主演俳優賞など、13の映画賞を受賞。83分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆実話をもとにした映画ゆえ、人種差別のリアルな描写に圧倒されっぱなし。ストレートな深刻話が苦手で申し訳ない気分に。

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★☆☆動揺を変奏するF・フェイソンの演技に引き込まれるが、告発が直線的。警察も通報システムも含めて、石頭を集めすぎた。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆心配無用と伝えているのに容赦ない警官との攻防が恐ろしい。日本でも独居で老いたら心配の名のもとに尊厳を失うやも。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆ドアを隔てた疑心暗鬼から悪循環の渦が巻く。米社会の一断面が凝縮されたワンシチュエーションの悲劇を正攻法で構築。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆ケネスの暮らす室内と狭い廊下の緊張感。振り切った描写は観る側へ人種と権力の構造を訴えBLMについて再考させる。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
© 2020 KC Productions, LLC. All Rights Reserved

INFORMATION

『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』(米)
9月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
https://kokc-movie.jp/index.html

通報装置が誤作動を起こしただけなのに…無実の黒人が白人警官に殺害された実際の事件を描く 「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」を採点!

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー