〈あらすじ〉
1923年夏、千葉県北西部の福田村。朝鮮で日本軍による虐殺事件を目撃し、心に傷を抱えた教師の澤田智一(井浦新)は、妻の静子(田中麗奈)を連れて帰郷する。一方、沼部新助(永山瑛太)率いる薬売りの行商団15人は、香川県から関東地方に向けて旅立った。
9月1日、関東大震災が発生。「朝鮮人が略奪や放火をした」という流言飛語で日本中が大混乱に陥っている中、行商団が福田村に到着。村の自警団は彼らが朝鮮人ではないかと疑う。智一は必死に擁護するが、疑心暗鬼に陥った人々はそれを聞き入れず……。
〈解説〉
『A』『A2』『i―新聞記者ドキュメント―』など社会派ドキュメンタリー作品で知られる森達也監督の初の劇映画。100年前に実際に起きた虐殺事件をもとに、集団心理の暴走を描く。137分。
-
中野翠(コラムニスト)
★★★★☆関東大震災の混乱と恐怖の中での暴挙。それから100年。情報メディアは発達したものの、ネットを盲信する人たちもいて。
-
芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆動揺と恐怖のもたらす惨事をポリフォニックに描いている。「素手」の仕事を感じさせるが、映像にもう少しコクが欲しい。
-
斎藤綾子(作家)
★★★★☆美しい山村の風景と手入れされた清らかな貧しさが余所者を受け入れない心理を映す。その怖さが今の苛めに繋がりそう。
-
森直人(映画評論家)
★★★★☆史実への真摯なアプローチから力強い人間群像が立ち上がる。政治力学や集団心理の本質を抉った寓話の趣。配役が絶妙。
-
洞口依子(女優)
★★★☆☆永山瑛太、東出昌大、好演。川面をゆく渡船の田中麗奈も。映画を通じ様々な差別を考え秋水に至る。性的描写は微妙。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『福田村事件』(「福田村事件」プロジェクト 2023)
9月1日(金)よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国公開
https://www.fukudamura1923.jp/