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連載テレビ健康診断

「安倍晋三元首相にべったりだった」岩田明子は「安倍さん」ネタが尽きたらどうなるのか――青木るえか「テレビ健康診断」

『めざまし8』(フジテレビ)

2023/09/30
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 ジャニーズ事務所問題で「メディアの身の処し方」が問われているが、ワイドショーに出ている芸能レポーターの皆さんは「今こそわれらの出番だ!」とこの問題をレポートする……なんて視聴者も思ってない。「人気事務所の都合のいいお話を承ってワイドショーで発表するだけ」だと見切りをつけてるから期待も無い。そんな諦めの気分で『めざまし8』を見ていたら、岸田改造内閣の話題になり、新閣僚や新役員の紹介が始まった。

 そこに出てきたのが岩田明子。元NHK解説委員の、安倍晋三元首相にべったりだったという、あの岩田さん。どういう肩書で出てきたか聞き逃したのだが、たぶん「政治評論家」なんだろう。しかし、べつに評論はしていなかった。主に女性閣僚や女性役員についてコメントしていた。小渕優子が会見で泣いてるのを見て、涙じゃなくてしっかり説明しろ、というようなことを述べてネットニュースにもなっていたが、ニュースにする必要もないぐらいの、ごくふつうの意見である。そんなことより、上川陽子外相について、「上川さんが法相時代、オウム真理教の麻原彰晃らの死刑執行をした時、安倍総理に電話で……」とかいう話を始めたほうがびっくりした。そりゃ、あれだけの事件の死刑執行だから時の総理と連絡取ってるに決まってるだろうが、そのことに上川さんの政治家としての重大な意味があるのか考えこんじゃったよ。たぶん意味はそれほどなくて、岩田さんの持ちネタ=安倍元首相に食い込んでたんですよアピールか、いや、アピールというよりも、「安倍さんの話題を出したい」という気持ちがあふれてた感じ。

岩田明子さん ©文藝春秋

 岩田さんはそれほど押しも強くなく、発言もごくふつうだ。たとえば三浦瑠麗みたいな「なんだかわからないがエラそうに人をケムにまくことによって一定数の人がなんとなく三浦瑠麗の言うことをもっともだと思ってしまう」ようなパワーはない。ただ、安倍さんの話の時だけ身を乗り出す感じでいきいきしているのだ。安倍さんのそばにいて「実はこんなことがあってね」とか教えてもらうのがほんとに幸せだったんだろうなあ。しかしもう安倍さんは亡くなっているし、早晩思い出も尽きる。岩田さんは次の安倍さんを見つけなければならない。

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 でもそうやって政治家に近づいて食い込んでここだけの話、とかを聞かせてもらって情報を出したり隠したりするのって、ほとんど芸能レポーターと同じ仕事ですよねえ。あ、政治評論家というよりは政治レポーターと言えばいろいろな意味で納得できるか。そうか、田﨑史郎もまさに政治レポーターだしなあ。岩田さんはどのタレント、いや政治家のところに行くのだろう。

INFORMATION

『めざまし8』
フジテレビ 月~金 8:00~
https://www.fujitv.co.jp/mezamashi8/

「安倍晋三元首相にべったりだった」岩田明子は「安倍さん」ネタが尽きたらどうなるのか――青木るえか「テレビ健康診断」

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