「文藝春秋 電子版」では3月21日(火)、国際政治学者の三浦瑠麗さんがMCを務めるオンライン番組「炎上上等対談」の第2回を生配信しました。ゲストは落語家の立川談春さん。90分にわたってお話しいただいたテーマは「芝浜と夫婦の情愛」でした。
談春さんは昨年末の独演会で古典落語の「芝浜」を大きく変えて演じられ、その真意を文藝春秋4月号にエッセイとしてお書きになりました。一方、三浦さんは文藝春秋5月号に登場。インタビューに答え、夫が逮捕された現状についての心境を明かしています。そんな最中に行われたこの生番組。友人である談春さんがMCに逆に斬り込んで、三浦さんの本音を引き出す話術は流石のひと言。お二人のやり取りを記事化したテキスト版を一部転載します。
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逮捕の当日に
三浦 今日も文藝春秋本社からお届けしております「炎上上等対談」。ふたたび申し上げておりますが私ではなく、新谷編集長の発案でございます(笑)。
立川 火中の栗を拾いにきた立川談春でございます。「炎上上等」なんて言うもんじゃないよ。「火あぶり必至」っていう状況なんだからね。三浦さんとの対談に「出る」と俺が言っただけなのに大抗議だよ。「落語家として見損なった」とか。落語家を何だと思っているんだろう(笑)。
(三浦さんの夫が)逮捕された当日に、この番組の打ち合わせをすることになっていたでしょう。「行かないとなめられる」と俺は思った。だから、永田町のオフィスに行きました。そうしたら、100人ぐらいの報道陣がいるんですよ。そのオフィスがねえ、全面ガラス張りなの。トマトなら育ちそうな日の当たり方なの。
入って行ったら、驚いた。やっぱり人っていうのは、ああいう興奮の仕方をするんだな。従業員の皆さんがですねぇ、落ちこんでいるとかガッカリしているじゃない。
三浦 社長がいきなり取られちゃったから「どうするんだろう」と、みんなヤケになっていて。そこに師匠がいきなりやってきた。「こういうときに来てくださる方が……さすがですね!」と。
立川 スイッチ入っちゃったんだね。「こんな日は飲まなきゃ、やってらんないでしょー!」って、ウイスキーを持ってきて、ボトルをどーんと置いてった。
三浦 たぶん、師匠が来たらお酒を出さなくちゃいけないっていうマインドがあるんですよ。
立川 出されちゃったから、みんなでウイスキーをロックとかストレートで飲み出しちゃってねえ。電話の受付の人だけが、飲まずにちゃんとしているんだけども、あの人もハイだったんだね。お昼ごはんに買ってきたガパオライスをね、あんな勢いで食べる日本人を俺は初めて見たよ! ガパオライスを食べて、焼きビーフンを食べて、まだ食べようとしている(笑)。「なんのカロリーをこの人は必要としているんだろう」と思った。
そのうちに三浦さんが「出かけなくちゃいけない」と。そうしたら、社員の人が「三浦が出ますので車にご同乗ください。お送りします」って。俺は思ったよ、「これはお送りされていいものなのか」と。
三浦 だめです(笑)。今となってはわかります。
立川 エレベーターで移動するとき、俺が面白い話をしていたら、なんか普通だった三浦さんまで変なスイッチが入っちゃった。みんなが大笑い。で、もうギリギリのところで「俺は帰るわ!」って言ったんだけど、みんなががっかりして言うんだ。「お送りしますから! どんな近くの駅にでも!」。だからお送りされたくねえんだ、ってね。
で、帰ってから夕方のテレビを見たら、「どうもありがとう!」っていう笑い顔のまんま出て行った三浦さんが「謎の笑み」とか言われている(笑)。高いコートを着ているものだから「相変わらず反省の色がない」とかってね。