40年以上、報道の第一線で活躍したキャスターの安藤優子さん。46歳からは働きながら12年間上智大学の大学院に通い、その際に執筆した博士論文をもとに『自民党の女性認識』(明石書店)を出版しました。論文執筆の作業は、20歳でテレビ局に飛び込んだ時から感じ続けてきた「男社会」への違和感と向き合う作業でもあったと言います。

 安藤さんが時に“ペット化”、“おっさん化”し、女性であることを封印して働いた後悔から見えてきた、「個」を大切にする社会とは。

安藤優子さん

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現在は大学で教えたり、論文を準備する日々

――『直撃LIVEグッディ!』の放送終了とともに生放送の帯番組から離れて3年になります。 “生放送ロス”はないですか。

安藤優子さん(以降、安藤) 画面にもう一回出て華やかに活躍したい、という意味でのロスはまったくないんですけど、鮮度のいい一次情報に触れることがむずかしくなってしまったので、そういう意味ではロスですね。ニュースを見ていると取材対象者に自分で会いに行っちゃいそうになります。

――前のめりな取材姿勢は健在ですね。

安藤 インタビューなんか特に、「私だったらこうやって質問するのに……!」と歯がゆくなってしまってダメですね(笑)。「で、本当はどうなの?」を追求していく作業が私にとっての生の情報・報道番組だったので、取材対象者に近づくことができなくなってしまったことへのもどかしさはかなりあります。

――今も関西のニュース番組にコメンテーターとして出演中ですが、他にはどんな活動を?

安藤 大学で教えたり、原稿を書いたり。あと、今また新たな論文の準備のためにいろんなところでお話を聞いているところです。

 

――生放送のキャスターを務めながら、12年間大学院に通っていたそうですね。そんな大学院生活の集大成として執筆した博士論文をもとにした書籍、『自民党の女性認識』を昨年発表されました。この中で、研究対象となる何十人もの政治家に直接、話を聞かれています。研究はどんなかたちでスタートしたのでしょうか。

安藤 リサーチのために、まずは政治家にお手紙を書くところから始めました。「私の研究テーマはかくかくしかじかなので、研究のために取材させてください」といったかたちですね。

 メディアに出ている人間が話を聞きに行くと政治家は警戒するので、まずは意図をちゃんとお伝えして、これは報道にのせるものではなく学術研究でしか使用しませんと説明しました。