研究テーマは「なぜ国会に女性が増えないか」
――安藤さんから直筆の手紙が来たら、政治家も驚くのでは?
安藤 たしかに、飛び込みみたいなものだったので驚かれていましたね。ただ、皆さんすごく協力的で、たとえば、世襲のことを小渕優子さんに堂々と聞きに行ったのは私がはじめてだったそうです。
回りまわっていろんな批判をする人はいても、じゃあ彼女自身がそのことについてどう考えているかについては聞いてくれなかったし、自分も言う機会がなかった、とお話しされていました。
――テーマは「なぜ国会に女性が増えないか」です。なぜこのような問いを立てたのでしょうか。
安藤 もともと、修士課程では小泉政権の研究をやっていたんです。その流れで、博士課程に上がったときに、なぜ日本はこんなにも女性の国会議員が少ないのかということを、政治学のアプローチで研究してみようと思い立ちました。
しかし、研究を進めるうちに、どうも選挙制度や政治のシステムに原因があるわけじゃなくて、私たちの“心”、意識や認識の方に原因があるのではと考えるようになりました。しかし、意識や認識はすごく可視化しにくいので、政治学の分析では見えてこない。
だから、社会学的なアプローチに切り替えて、どうやったらこれを可視化できるかを考え始めたんです。
報道アシスタントの頃から感じていた“閉塞感”
――安藤さんご自身も、報道の現場で女性を取り巻く意識や認識に違和感を感じていたのでしょうか。
安藤 大学生アルバイトで報道番組のアシスタントを始めた20歳のときからずっと、閉塞感のようなものを感じてきました。タンクトップにハイソックスみたいな女子大生全開の格好で男性一色の報道の世界に入っていったから、もう私なんて宇宙人みたいなものですよね。
仕事の内容は、報道番組で男性司会者の隣に座っているアシスタント。例えるなら、刺し身のツマではなく、プラスチックの菊の花みたいなもので、司会者が言ったことに相槌を打って時々、笑顔を作る。いてもいなくてもいい“添え物”でした。