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“底辺プロ野球選手”から“底辺YouTuber”に転身した男が炎上しても古巣・巨人をこき下ろす理由

文春野球コラム クライマックスシリーズ2023

2023/10/15
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炎上した“大城卓三批判”

 もちろん、炎上することもたびたびあります。今季は大城卓三さんのリード面を批判したところ、僕に対するバッシングが殺到しました。

 僕が問題だと感じているのは、「大城さんのリードにストーリー性がない」ということ。せっかく素晴らしい能力があり、正捕手として安定して試合に出られる状況にありながら、長期的な視野に立ったリードができてないと感じたのです。3連戦の初戦で伏線を張るとか、長いスパンを見据えた配球ができれば、シーズンをもっと優位に戦えるはず。そんなもどかしさがありました。

 途中出場する捕手の場合は、「短いイニングを無難にゼロに抑えたい」という発想になるのもわかります。でも、大城さんは常時出場できる立場にありながら、途中出場の捕手のような目先のリードに終始している。それはもったいないと感じます。

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 こうしたことをYouTubeで語ると、必ず寄せられるのが「お前が言うな」というコメント。僕と大城さんとでは、捕手としての実績が天と地ほどに違います。その点はたしかに「おっしゃる通り」と思いながら、当該コメントにハートマークをつけさせてもらっています。

 でも、野球が下手だった人間は論評する資格がないのでしょうか。それでは大谷翔平さん(エンゼルス)は誰も批判できなくなりますし、野球ファンの楽しみ方を狭めてしまう恐れはないでしょうか。僕が批判すること自体を否定するのではなく、批判の中身で評価してもらえたらうれしいです。

 大城さんは僕と同期入団の尊敬すべき選手ですし、今も変わらず応援しています。でも、何でもかんでも褒め称えるのが、選手のためになるとは思えません。僕は「巨人に勝ってほしいから」という思いで、提言させてもらっています。

左投手に右打者をぶつける意味

 今季、年間通じてもっとも批判させてもらったのは原辰徳監督でした。

 当然ながら監督に就けるだけで超一流の野球人であり、経験のない僕にとって監督業は想像を絶する仕事です。

 それを差し引いても、今年の原監督の采配は疑問を覚える試合が多くありました。原監督は2023年をどんな年にしたかったのか、今もわからずにいます。

 若手にチャンスを与える時期もあれば、もう少し我慢して使ってほしい選手を2軍に落とすこともある。よく言えば柔軟、悪く言えば一貫性がない。それが2023年の原采配でした。「マシンガン継投」や「左右病」も裏目に出る試合が目立ちました。

 とくに「左右病」は疑問でした。DeNAの今永昇太投手や東克樹投手のように質の高い落ちる変化球を持った左投手の場合、必ずしも右打者が有効とは限りません。巨人のある右打者はこんなことを言っていました。

「いい左ピッチャーは右バッターのインコースへのストレート、スライダー、落ちる球と攻められるから手に負えない。でも、対左バッターになればストレートとスライダー主体になるから絞りやすい」

 阿部慎之助さんが新監督になる2024年。巨人ファンの一人としては、当然優勝してもらいたい思いはあります。でも、今オフに戦力補強に成功したとしても、阪神や広島といった強敵に勝てるかというと、なかなか難しいでしょう。

 それならば、阿部監督には目先の優勝を狙うのではなく、2~3年後に黄金時代を迎える骨太のチームをつくってもらいたいのです。秋広優人、門脇誠、山﨑伊織、赤星優志と、せっかく若い芽が出てきました。彼らが大きな柱になるように鍛えていけば、きっと面白いチームができ上がるはずです。

 そして、そんなチームを愛しながら、これからも変わらずに言いたいことを言わせてもらおうと考えています。

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