プロ野球巨人の原辰徳監督(65)が4日、東京ドームで行われたDeNAとの今季最終戦のセレモニーで辞任を表明した。後任に阿部慎之助ヘッドコーチ(44)を指名しつつ、17年に及んだ巨人での監督生活にピリオドを打った。

 通算1291勝は、すでに長嶋茂雄監督の1034勝や川上哲治監督の1066勝を超えて巨人史上1位。2009年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも世界一に輝いた。しかしそんな球史に残る名将がキャリアの曲がり角を迎えている。原氏の「夢の続き」はどこにたどりつくのだろうか。

 原氏の監督辞任プロセスがスタートしたのは今年の夏だった。

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巨人の監督を辞任した原辰徳氏 ©時事通信社

 読売本社が原氏に対し、3年後のWBCに向けて侍ジャパンの監督就任を打診したのだ。この時点で巨人は優勝戦線から遠ざかり、原氏も同一監督として球団史上初の2年連続Bクラスが迫っていた。WBC監督の打診は、横滑りさせることで解任色を出さず、勇退の印象を残してソフトランディングさせる本社の配慮だったという。

後継者が阿部なのは「原さんへの気遣い」

 原氏に近い関係者はこう証言する。

「原さんは2022年の時点で、優勝すれば身を引くつもりでいたと思います。3度目の巨人監督に就任してからは、ふさわしい引き際を探っていたようでした。勝って終わりたい気持ちが強いぶん、侍ジャパンの監督就任には乗れなかったんでしょう。まだAクラスに入って日本一になる可能性も残っていましたから」

©時事通信社

 しかし、巨人の成績は一向に浮上しなかった。そして9月29日に山口寿一オーナーの「契約についてどう考えるかも含めて、真剣に考える必要があるだろうという考えですね」という発言に至ったのだ。

 直後にチームのBクラスが確定し、終戦を迎えた。

 3度目の原政権が始まったのは、高橋由伸監督が3年連続で優勝を逃した後の2018年オフのこと。低迷していたチームの再建を託された原氏は、山口オーナーに「好きなようにやらせてほしい」という要望を容認させ、編成権を含めた全権を得た。

「いわゆる『三顧の礼』で就任してもらったので、原さんに最大限の気遣いをする必要があった。だからこそ代表監督を用意したわけです。後継者が慎之助になったのも、原さんの意思を反映しています」(球団関係者)