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ジャニーズ性加害問題、2度目の会見で「大きな悪より小さな不快が許せない国民性が爆発」したのはなぜか?

2023/10/11

genre : エンタメ, 芸能

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 最初の会見は4時間に及ぶ長丁場で、良くも悪くも目が離せない緊張感があったように思います。そして信じがたいことに、この前代未聞ともいえる甚大な性加害問題に対して、東山社長の不退転の決意を表すための「タレント引退」と、井ノ原副社長のひたすらの好感度で乗り切れるだろうと考えていた。そう思わざるを得ないほどに、ジャニーズ側の受け答えは非常に空々しく、時に迂闊で、マトを得ていないものが多かったです。

 特に東山社長が「夢を握りつぶされた方たち(被害者)と夢をあきらめた(タレントを引退する)自分と」と被害者と自分を並列に置いたのは初手からまずかった。井ノ原副社長の「(性加害の)うわさはしていた。そうなったらどうしようと」というのも事前の弁護士らとの打ち合わせから逸脱するものだったのでは。藤島前社長の「BBC報道後、体調が悪い時に自宅に所属タレントが来て力になってくれた」という趣旨の発言も、ただただ自身のコンプラ意識の低さを露呈するものでした。

藤島ジュリー景子氏(ジャニーズ事務所公式サイトより)

非常に「見やすい」コンテンツ化された2度目の会見

「被害者に対して誠心誠意謝罪をし、そのケアに努める」という言葉は真実であっても、それはどんな法令遵守の意識、人権感覚をもった人間が発している言葉なのかで中身の深さ、濃さは変わってくる。初回の会見はジャニーズ事務所が本当の意味で賠償ができるのだろうかという疑問や不安が残るものでした。そして平素から圧力やお金でメディアをコントロールしてきたジャニーズのそんな「甘さ」を暴いたのは、平素であれば会見場に入ることも許されない“NG”記者だったのでしょう。

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©文藝春秋

 そんな最初の会見に対し、2度目の会見は非常に「見やすい」ものだったと思います。思ったことがすぐ顔に出るまっすぐ気質な東山社長と、それを支える人の良さそうな井ノ原副社長。「見やすさ」の正体は、我々視聴者がそういう勝手なキャラづけをしやすいような構成、いわゆる「会見のコンテンツ化」にあるのだと思います。欠席した藤島前社長からの謎の手紙タイムに始まり、「頑固で融通が利かない厳格」キャラの東山社長と「人当たりがソフトで親近感抜群」キャラの井ノ原副社長というバディが「ルール破りの荒くれ記者たち」を成敗して、最後には記者席から拍手が……何を見せられているのでしょうこれは。金スマか、相棒か、水戸黄門か。