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ジャニーズ性加害問題、2度目の会見で「大きな悪より小さな不快が許せない国民性が爆発」したのはなぜか?

2023/10/11

genre : エンタメ, 芸能

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「ジャニーズの会見とネットの反応、大きな悪より小さな不快が許せない国民性が爆発している」

 これはジャニー喜多川氏の性加害問題に対してジャニーズ事務所が行った2度目の会見後の私のツイート(Xでの投稿)です。

 

「善悪」を「快・不快」にすり替え乗り切ろうとするジャニーズ事務所

 多くの人が「うっすら」と共有している、半ば国民的な都市伝説のようだった喜多川氏の性加害問題。イギリスBBCが黒船的に乗り込み風穴を開け、少しずつ被害者たちがその重い口を開き始めました。うっすらとしていた都市伝説が急にリアルな輪郭を帯び始め、その被害の深刻さと「被害者救済委員会」に被害を申し出たのが478人という(実際はもっといるかもしれません)その人数の多さに、心を打ちのめされている人は多いと思います。

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看板が撤去されたジャニーズ事務所本社ビル ©時事通信社

 この件を受け、ジャニーズは2度の会見を開きました。最初は9月7日、元少年隊の東山紀之新社長、元V6の井ノ原快彦副社長、そしてジャニー喜多川氏の姪である、藤島ジュリー景子元社長、弁護士の木目田裕氏の4人。そして2度目は10月2日、藤島元社長は出席せず、弁護士を除くメンバーは東山社長、井ノ原副社長のみ。冒頭のツイートは現在までに2000を超えて拡散されています。初回の会見と2度目の会見の何が違ったのか。それこそが私がツイートで言いたかったところです。ジャニーズ事務所は、「善悪」を視聴者が受けとる「快・不快」に巧みにすり替え乗り切ろうとしていました。実際2度目の会見直後にネットに躍っていたのは、(勝手にジャニーズ側が作った)会見ルールに怒号をあげる記者への非難と、井ノ原副社長への賛美が多かった。それを受けてのあのツイートだったのです。

NGリストの存在を知っていた井ノ原副社長

10月2日、東山紀之社長(右)と井ノ原快彦副社長 ©文藝春秋

 原稿を書いている途中にも様々な新しい情報が出てくる状態です。「落ち着いていきましょう」「子どもたちが見ています」など、挙手しても当てられず不満を訴える記者たちを上手にあしらっていたように見えた井ノ原副社長が「指名NG記者リスト」の存在を知っていた、だとか、「全てに誠実にお答えする」としていた会見の事実上のコントロールをジャニーズ事務所がコンサル会社に要請したとかそれは勝手にコンサル会社がやったことで「うちの井ノ原はそれに反対していた」とか。もし井ノ原副社長がそのリストの存在を知っていてその行為に反対していたというなら、「落ち着いていきましょう」の前に「こちらの方ずっと挙手されていますよ」と司会者に促していたはず。実直でしごできの井ノ原副社長であれば。