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中央線“ナゾの終着駅”「青梅」には何がある?

東京の西の西へ#1

2023/10/30
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「青梅」にグリーン車がやってくる日

 いったいなんで青梅街道などという名前の道があるのか、は先に書いたとおりだ。東京から直通する電車が走るのは、青梅というよりはそれより立川寄りの一帯がベッドタウンとして発展したから、というのが正しい。

 ただ、もとはといえば青梅の町が一定の存在感を持っていたから、鉄道が通った。青梅駅の開業は1894年。青梅鉄道という私鉄を開業させ、奥多摩方面に延伸させて石灰石輸送も行った。1944年に国有化され、1949年には中央線からの直通運転がはじまっている。

 青梅線は1960年代までに東青梅駅まで複線化されていて、早くから輸送力増強にも取り組んできた路線だ。戦後、工業開発都市に指定されて工業団地が形成されたのもその理由。こちらも青梅駅からはだいぶ東側にあり、古くからの市街地に接する青梅駅とは直接的には関係がない。

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 ただ、こうして青梅は交通の便に恵まれ、後背地には奥多摩のハイキングコース、前面には工業団地とベッドタウンを持つことになった。それらをつなぐ場所に位置するのが、青梅駅とその町なのである。

 

 中央線は、2024年度末以降にグリーン車の運転が始まるそうだ。いまの10両編成にグリーン車2両を加えた12両編成になる。そのため、ホームを伸ばす工事も行われてきた。

 青梅線にも、もちろんグリーン車はやってくる。昭和レトロな青梅駅にもグリーン車。特急「おうめ」の存在もしかり、これだけ恵まれているのは、やはり刻んできた歴史が醸し出す、唯一無二の存在感があるから、なのだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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