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新宿から2時間…「奥多摩駅の奥」“ジブリの森”みたいな“ナゾの廃線”を辿ってみた

2020/11/09

 東京の“最果ての駅”とはどこだろうか。

 だいたい、東京は1400万の人口を抱える大都市オブ大都市だ。新宿や渋谷などのターミナルはもとより、ごく普通の駅でも、地方都市のターミナルなどよりずっと賑わいを見せている。

 だから最果て感のある駅などあろうはずもない。強いていうなら、なんらかの事情で線路が途切れてしまった都心の中の終端駅だろうか。西高島平駅などがそのひとつ。叶わなかった延伸の夢を持て余し、いささか寂しげである。ただ、そうは言っても住宅地に囲まれた都心の端っこにあるのだから、最果てとは言い難い。

東京の“最果ての駅”「奥多摩」は都内で一番標高が高い駅でもある (筆者撮影)

 そうして路線図を見ていると、あるじゃないかと気がついた。東京の一番西、JR青梅線の終点である奥多摩駅である。青梅線というと、東京駅から出ている中央線がしばしば直通。“青梅特快”はよく聞く名だし、通勤特急の「おうめ」も走っている。しかし、これらの列車は青梅駅止まり。終点の奥多摩駅は、それよりさらに多摩の山を分け入った先にある。なんでも、東京都内の駅で一番標高が高い駅でもあるらしい。

 東京都内の駅なのに、山深くに位置する奥多摩駅とは、いったいどんな駅なのか。ハイカーたちには馴染みの駅なんじゃないかという気もするが、見て見ぬ振りをして訪れることにした。

今回の路線図。ぐんぐん山を登っていく

「奥多摩」には何がある?

 奥多摩駅に向かうには、中央線の立川駅から青梅線に乗る。立川駅を出発する青梅線の列車は件の通り青梅行ばかりだ。やってくる電車は中央線でおなじみ、オレンジ色のE233系。昭和記念公園の昭島、横田基地のあるアメリカンな福生あたりを通り過ぎ、約30分で青梅駅に到着する。休日には終点まで直通する「ホリデー快速おくたま」が運転されることもあるが、筆者が訪れたのは何の変哲もない秋の平日。だから奥多摩駅へは青梅駅で乗り換えねばならない。

 青梅駅からの青梅線の車窓は、それまでの郊外の住宅地とは一変、まったくの山の中を、多摩川に沿って登ってゆく“登山電車”だ。中央線からの直通列車が青梅止まりというのはこうした沿線環境のせいなのだとよくわかる。多摩川沿いの谷を見下ろす区間あり、山の隙間の小さな集落に接した駅があり、途中では登山客が乗ったり降りたり。なんでも、青梅~奥多摩間は「東京アドベンチャーライン」などという愛称を与えられているらしく、確かにこれぞ東京アドベンチャーワールドである。

東京の“最果ての駅”「奥多摩」。立川駅から約1時間 (筆者撮影)
改札には「東京アドベンチャーライン」の文字 ©文藝春秋

 そして青梅駅から約30分、えっちらおっちらと山を登った青梅線の電車は“最果て”の奥多摩駅に着いた。立川駅からは約1時間。ちなみに、立川から東京駅も大月駅も50~55分程度だから、奥多摩駅の最果て感、なかなかのものである。同じ電車からは何人かの登山客が降りてゆく。きっと、「さあ、登山しなさい!」と言わんばかりの山の中なんでしょうねえ……。