佐藤愛子さんと話していると、なぜだか励まされる。読者と共有してきたこの感覚は、今どきで言うならシスターフッドではないか。そうだ、次は「101歳のシスターフッド」について、お話を伺おう――。
などと考えていたのだが、101歳になった佐藤さんを待っていたのは、骨折との戦いだった。前号で「入院中」と書いた骨折は2カ月で元に戻ったが、再び転倒。今度の大腿骨骨折は手術が必要ということに。術後で面会が難しくもあり、娘の響子さんと孫の桃子さんに再びお話を伺った。『週刊文春WOMAN2025春号』より、一部を編集の上、紹介する。
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響子 1月に全身麻酔で手術をして、今はリハビリをしているところです。
桃子 ところがリハビリをちゃんとやらない。
響子 理学療法士さんはとても親切で、「立ってみましょう」「ここまで歩いてみましょう」と優しく言ってくれます。だけど、私には「あのチビが、言いたい放題言う」って(笑)。
桃子 全然チビじゃない。すらっとしてるんですけどね。
響子 年齢的にチビと思ってる。
桃子 小僧みたいなことだね。
響子 相変わらず口は元気ですが、とても衰えました。
桃子 昨年11月に出した本(『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』コスミック出版)に祖母が要介護2であること、アルツハイマー型認知症と診断されたことを書きました。それから進んで、今は要介護4です。
響子 今は、常に白日夢の中にいる感じです。
桃子 寝てる時、寝言をすごく言うよね。
響子 だけど時々、面白いんですよ。この前は私に、「じいさん、ばあさんが寝てるんだよ。だから私が『起きろー』って言ったら、みんな飛び起きた。そういう時は声が出るもんだね」って言っていて。
桃子 っていう夢を見てたんだよね。ていうかなんで起こすんだよ……。どこ?
響子 施設だと思う。白日夢で施設に行って、現実とごっちゃになっていて。とにかくじいさん、ばあさんに号令かけてるんだよ(笑)。
桃子 入居者のみなさんに。
響子 良いケアマネージャーさんに出会えたこともあり、昨年秋に近くの介護施設に入ってもらったんです。そこで転びました。