――佐藤愛子さんは11月5日、101歳になった。お祝いを申し上げよう、そして石破茂首相のことを伺おう。そう思ったのは、佐藤さんがかつて石破氏を「私の『ごひいき』」と書いていたからだ。その理由もふるっていて、佐藤さんの人と時代を見抜く目に感服させられる。今こそ「101歳の時代感覚」を伺わねば。そう思ったけれど佐藤さん、ショートステイ先で骨折し、入院されているとのこと。そこで前号に続き、娘の響子さんと孫の桃子さんに語っていただいた。『週刊文春WOMAN2025創刊6周年記念号』より一部を抜粋して紹介する。
自分の状況にショックを受けた母
響子 肋骨と大腿骨を折りました。母が自分の状況にショックを受けて、「このことみんな知ってるの?」と言うので、その時点で「まだ誰にも言ってない」と答えたら、ホッとしていました。でも誕生日にお祝いをたくさんいただき、家にいないことを隠すわけにもいかず、「ショートステイ先で転びました」ということだけはお伝えすることにしました。
桃子 昼寝から起きると何時かわからないようになったのが始まりで、認知機能も徐々に低下してきています。
響子 娘が11月に本(『佐藤愛子の孫は今日も振り回される』コスミック出版)を出し、母の衰えをはっきり書きました。最近では深夜や早朝でも呼ばれることが続いていて。
桃子 私のことをわからなくなったりすることもありました。この前、病院の祖母と電話で話したのですが、小さい子に話すような声色になっていて、「桃子」でなく「桃ちゃん」のイメージになっているのかなと思いました。
エネルギッシュなままの母
響子 それでも母の中には活火山があって、常にエネルギーがわいてくる。細胞は衰えているのにエネルギッシュ。だから転んだりもするんです。この前、病院で「ご飯はどう?」と聞いたら、「こんなまずいもの、生まれてこの方、食べたことないね」って。ナースステーションの近くで、ですよ(笑)。
桃子 しかも耳が遠いから、声が大きい(笑)。
響子 桃子が髪をピンクにしたので、「また髪の毛、派手に染めたよ」と言ったら、「何やってるんだ」って。
桃子 いいじゃないか、別に(笑)。