国道といえば、多くの人は整備されたいわゆる“良い道”を想像するだろう。事実、国道は日本に数ある道路の中でも最上位に分類される道路だ。しかし、そんな国道の中には、整備が行き届いたイメージとは裏腹に、そうではない国道も実は存在している。道幅が非常に狭く対向車とすれ違うことが出来ないだけならまだ良いほうで、路面に無数の落石が転がり、ガードレールがなく一歩間違えれば崖下に転落するような国道も少なからずあるのだ。そうした状態が酷い国道のことを、親しみを込めて“酷道”と呼んでいる。
国道は、東海道を踏襲している国道1号からはじまり、全部で459路線が整備されている。そのうち酷道と呼べるのは、60路線あまり。近年まで“落ちたら死ぬ!!”という看板が設置されていた157号や、紀伊山地を貫く425号、四国山地を横断する439号などが代表的な酷道として挙げられる。今回は、そんな酷道のなかでも非常に特異的な存在である482号をご紹介したい。
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徐々に酷道区間へ近づいていく
国道482号は京都府宮津市を起点に兵庫県・鳥取県・岡山県の北部を経由し、再び鳥取県に入り米子市で終点となる総延長353kmの路線だ。そのうち酷道区間は、兵庫~鳥取の県境付近に存在する。鳥取県には計13路線の国道が通っているが、酷道と呼べるのは482号が唯一といっていいだろう。
482号を兵庫県から鳥取県に向かって走っていく。
国道9号との分岐地点に“10km先大型車通行不能”という表示が現れた。つまり、10km先から酷道区間が始まることを予告している。普通の人であれば別ルートを検討したり、身構えるのだろうが、酷道が好きな私としては、ここからワクワクがはじまる。
走るにつれて“9km先”“6km先”と徐々にカウントダウンされていく。それだけ警告が必要な道なのだろう。そして、ついに“この先大型車通行不能”の看板が現れた。
ここからいよいよ酷道区間に突入する。