「狭く険しい道だが、上手に使っていただきたい」
未開通区間には未舗装の町道があったが、これを県が国道にする計画で舗装を行い自動車の通行を可能にした。
しかし、2004年に落石が発生して通行止めになって以来、復旧作業は難航、国道の整備は長期化していた。落石から15年を経てようやく整備が完了し、2019年5月25日、晴れて国道として開通したのだった。
新たな国道路線は増えないが、このようにして国道の未開通区間が開通することがある。しかし、近年になって開通するとすれば、2車線の快走路として整備されることがほとんどだ。山間部の峠道であれば、トンネルで山をぶち抜くことになるだろう。それが、この482号は狭隘な酷道として整備された。
開通式で兵庫県の井戸敏三知事(当時)が「待ち望んでいた国道が完成し感無量。狭く険しい道だが、上手に使っていただきたい」と挨拶したほどだ。
私が知る限り、近年新たに酷道として整備・開通した国道はこの482号と、416号の福井~石川県境だけだ。416号は平成の終わりに開通しており、482号は令和元年に開通した。482号は、最も新しい令和の酷道といえるだろう。
なお、482号は最新の酷道であるにもかかわらず、道路の線形が良くない。たとえば狭い道路の左右両側には白線が引かれているが、幅が一定ではなくデコボコと歪な形をしている。また、カーブの途中で角度が変わるため、ハンドルを切り直す必要が生じる。
なぜこんなことになったのかというと、国道として開通したのは令和元年だが、道路としては元々あった未舗装の町道を舗装し、利用しているためだろう。現在の技術で新たに設計すれば、もっとスムーズに走れる酷道になるはずだ。
酷道区間に入って30分強ほどで、兵庫県から鳥取県へと入った。
県境付近には、いつでも通行止めにできるように、道端にバリケードが放置されている。
鳥取県側には“幅員狭小につき大型車通行不能”と書かれた看板が立っていた。
その隣には国道482号の図があり、県境を境に道幅がグンと狭くなっている。しかし、実際の道の状態は、県境を過ぎても大きな差はなく、もうしばらくは酷道の状態が続く。









