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「自分も撃たれる覚悟だけはしておいた方がいい」MOROHA・アフロが語った、芸能ゴシップに感じる“矛盾”

MOROHA・アフロさんインタビュー#3

2023/11/10
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キャンドル・ジュンが記者会見で試した“覚悟”

アフロ 俺はいかないだろうね。俺は人間のドロッとした部分に興味がある。実際、ゴシップ記事とかクリックしちゃうよね。だってジュンさんの記事だって見るしね。広末さんの記事だ、また何かあった? みたいな。大前提として別に世直ししようと思って音楽をやってるわけじゃないから。でも俺は人を撃つ人間は、自分も撃たれる覚悟だけはしておいた方がいいと思う。

 有名な猟師の方が言ってたけど、動物をバーンって撃つ、その時には罪悪感はないんだって。だって動物が動物を食う時に罪悪感は持たないから、俺も別に食うための動物だったら撃つ。でもその代わり、自分が死んだ時は、動物に食ってもらいたいと思うって。俺はその気持ちだけは持ってなきゃいけないと思う。その後ろめたさみたいなものをなくしちゃいけないよね、やっぱね。

©佐藤亘/文藝春秋

 その覚悟を試すべく、ジュンさんも会見で記者にマスクを外せと言ったんでしょ、きっと。あれはあの場で撃ち返そうとしたよね、やっぱり。だからあれはちょっと歴史に残る会見だったな。小さな戦争を見た感じがするね。

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 矛盾してるのよ、みんな。ジュンさんだって純白な人を求めてるわけじゃないと思う。でもあの瞬間、やっぱりジュンさんは極論だったなと思うし。でも、そういう立ち回りをして、問いかけを世界にしたのは凄いよね。心から尊敬してる。

 後ろめたさをなくしちゃいけない。どうしても裁く顔をしているときついのよ。裁く側の人間って「ああ昨日の俺、間違ってたかもごめん」ができなくなるでしょ。極論にすごく取り込まれちゃう気がするよね。

©佐藤亘/文藝春秋

覚悟もないのにSNSで世直ししようとするべきじゃない

――矛盾は常にはらみますね。ジャニーズ問題も、今のイスラエルとパレスチナの問題もそうですけどきれいに白黒つくことなんて社会にはなく、どっちについても間違っている部分が出てきちゃう。そこはずっと考え続けなきゃいけないのだけれど、結局みんな勝ち馬に乗ろうとしてしまう。

アフロ 裁こうとするから、どっちにつくみたいな話になっちゃうんだよね。だから、「好き」で突っ走ったらいいんだよ。「頑張れ」でいいんだよ。俺、ジャニーズにどんな問題があっても「生田斗真頑張れ!」と思うもん。なんであれ。生田君のこと悪く言うやつが目の前に現れたら、「おいちょっとやめろ、いいやつなんだぞ」ってなる。

 みんなSNSで世直ししようとするじゃない。するべき人たちはしていいんだよ。でもどう考えても君たちは本当にそれをする覚悟もないでしょ、じゃあ世直しするみたいな視点でいわない方が楽じゃない? と思う。好き嫌いじゃなくて善し悪しで語るから窮屈だよね。

 と、ここまで話してみて俺もまだまだ裁こうとしてるかも、っても気付いちゃうなぁ。反省です。でも忘れたくないのはどれだけ思想や意見が違ってもプライドの削り合いではなくて、好きになる努力をしたい、と言うことですかね。

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