文春オンライン

「自分も撃たれる覚悟だけはしておいた方がいい」MOROHA・アフロが語った、芸能ゴシップに感じる“矛盾”

MOROHA・アフロさんインタビュー#3

2023/11/10
note

 俳優から芸人まで芸能界のファンも多い「MOROHA」のMCであり、テレビCMのナレーションなども務めるアフロ(35)が、初主演を務める映画「さよなら ほやマン」が11月3日より公開されている。

 前回に続き、日本武道館に立ったことで変わった周囲への向き合い方の変化、さらに芸能ゴシップについて「撃たれる覚悟はあるか」と説いた。(全3回の3回目/最初から読む/※インタビューは2023年10月11日に行いました)

◆ ◆ ◆

ADVERTISEMENT

だいたい売れるとみんな裁判官みたいな顔をし始める

――日本武道館の舞台に立つことで、MOROHAとして、アフロさんとして周囲への向き合い方が180度変わったんですね。

アフロ だから、最近俺ね、音楽性の善し悪しとかあんま興味なくなってきていて。友達の音楽ばっかり聴くんっすよ。1杯飲んで喋って、いろんな身の上話をした後に、そいつの音楽聴くと、「あんなこと言ってたやつが、こんなこと思ってたんだ」とか、友達の話を聞いてるみたいな感じで音楽を聴けるようになって。

 もうムチャクチャかっこいいとされている曲よりも、俺にとってはすごくグッときたりとかするようになっていて。昔は情を絡めて音楽を聴くなんてって思ったんだけど、今は情にまみれてますね。わはは。

MOROHA・アフロさん ©佐藤亘/文藝春秋

 でも作品作りにすげえいい影響がありますよ、そっちの方が。だって心が動くんだもん。心が動いてた方が絶対いいから。だから音楽性がどうこうじゃなくて、そいつがいいやつかどうかだけで俺は今、音楽を聴いてる。

 だから飽きたのかもしれないね。批評性みたいなことに。俺が裁くんだみたいな。だいたい売れるとみんな裁判官みたいな顔をし始めるの。どの業界も。みんな表情が「俺がいいものか悪いものかを決める係です」みたいになる。

裁かれる側でいることが、音楽をやる人間の唯一の良識

 音楽シーンでもそういう人はいっぱいいて、別に引き受けて自分が楽しいと思ってやってるんだったらすべきだと思うんだけど。俺はそれをやり続けるには、実人生が貧しくなっちゃいそうだなと思って。それこそ武道館までは俺もそうやってきたから。

©佐藤亘/文藝春秋

 ああ、でも変わっちゃったなぁって思う人もいるから悲しいな。悲しいね。選民意識にやられちゃったのもかな、って思う。裁く側に回っちゃったな、パンクって言ってたのになって。反面教師で自分はそうならないようにしたい。

 裁かれる側でいることが、俺たち表現をやる人間の唯一の良識というかさ。どんなに持て囃されて人気者になってもステージに立ったら裁かれる側なんだっていう。選民意識をくすぐって、裁く側に回った瞬間に、俺の好きな表現者じゃなくなるなっていうのがある。

関連記事