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土砂降りの雨、沈む夕日をこえて…猿と鹿だけが暮らす屋久島の森で撮られた「ある驚くべき行動」が世界で大反響を呼ぶまで

“猿撮り写真家”ルポ

2023/11/17
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 宮之浦港から車で1時間半、大川の滝付近に到着した頃には先程までの雨が嘘のように空は晴れ渡り、夕方の日差しが森の木々を照らしていた。

急峻な山肌を流れ落ちる大川の滝 ©️大島淳之

 そこからしばらく進んで海側の車窓が開けてきた頃、道路上でくつろぐ猿たちの姿が見えてきた。

道路上でくつろぐヤクザルの群れ ©️大島淳之

 人里から離れたこのあたりの猿たちは、畑を荒らす獣害や餌付けとは無縁、森の恵みを頼りに生きる純野生の群れといえる。

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森の中、樹の実を頬張るヤクザル ©️大島淳之

 幸い猿たちがこちらを気にする様子はなく、日が暮れて暗くなり始めるまでの小1時間、各々に食事やグルーミングを楽しんで、その日のねぐらへと去っていった。

屋久島の夕暮れ。太陽が水平線へと沈んでいく ©️大島淳之
夕焼けに染まるヤクザル ©️大島淳之

なぜ電波も入らない森の中で一日中猿を追い求めるのか?

 2日目以降は、日の出前から日が暮れて暗くなるまで猿を探して観察、そしてチャンスがあれば撮影。そんな時間の繰り返し。

夜明け前の屋久島 ©️大島淳之

 大川の滝から先には人家はおろか電波も入らないので、日中は必然的に人との関わりが絶たれ、ヤクザルの世界に身を預けることになる。

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