――その選手たちを率いる森保監督も、2023年のアジア最優秀監督に選ばれました。
レオザ 森保監督も、日本代表が呼ぶことができる人の中で戦術面でのプラスアルファを期待しなければ最適任な人選になっていると思います。
――レオザさんの森保監督に対する考え方が変わったんですか？
レオザ 考えは変わっていませんが想像以上に森保監督の長所が強みとなる業界でした。僕自身がサッカークラブを作って運営するようになり様々な経験を重ねた中で、サッカー界は思った以上に一般常識が通じない世界。つまりサッカーは上手いけど、社会人的な最低限のスキルや常識がなかったり人間関係を作れない人が想像以上に多かったです。
そんな中で、森保さんは勝率を上げるための戦術的なプレーモデルの構築は出来ませんが、選手たちと対話をして関係性を作れるのでチームを壊すことがない。しかもサッカー協会内での根回しができて、元代表選手でもある。それはサッカー界では本当に貴重な能力だと気づいたんです。
――微妙な褒め方にも聞こえますが……。
レオザ 絶賛以外が批判に聞こえるのは分かりますが、発足当初から全ての試合でピッチで起きている現象の分析の結果と、公になっている本人と関係者の発言を精査した上での結論です。しかし決して揶揄したいわけではありません。日本に世界的な名将を呼べるわけはなく、ライセンス制が指導者としての実力や実績を評価するのとは程遠い形式なので、現状任せられる監督の中では森保さん以上の人はほぼいないと思います。そして何より重要なのは選手の質です。
「日本がベストメンバーだったら、確実に世界でトップ10に入る」
――というと？
レオザ 対戦相手に比べて選手の質が低い時は、戦術的な上積みがないと勝てません。しかし今のチームなら、質の高い選手たちが自分で判断できる範囲内での戦術だけでも勝利できる戦力がスタメンのみならずサブまで数多く揃っています。今の状況なら、戦術浸透や修正力に乏しくても中心選手に慕われ気持ちよくプレーさせられる能力が高い監督ならば主力の離脱と本気の強豪相手の試合が重ならなければ崩れません。そういった状況なので森保監督は適任です。
――そこまで強くなったのですね。日本代表は世界の中だと今どんな立ち位置なんでしょう。
レオザ 日本がベストメンバーならば、代表戦に対するコミットメントの高い選手のメンタリティと森保監督が作り上げている団結力と内部崩壊の危険性の低さ、そういった強みに選手各個人のクオリティを加味するとトップ10に入れると思います。
――ということは21日のシリア戦の注目も、やはり久保・伊東ですか？
レオザ 三笘はケガで今回はいませんけど、久保と伊東がサイドで前を向いてボールを持った時はそれだけでチャンスです。アジアでは日本は格上の立場なので相手も守備重視で来るでしょうけど、それでも戦力差は圧倒的です。
――今の代表チームをリアルタイムで見られる幸運に感謝して見たいと思います。
レオザ 楽しみましょう。
