今月、ヨーロッパ遠征を行ったサッカー日本代表は、9日にドイツ代表と対戦し4-1で勝利。12日にはトルコ代表に4-2で勝利を収めた。ヨーロッパの強豪を撃破した森保ジャパンに対して、SNSでは「日本強すぎ」がトレンド入りするなど称賛が殺到。
次回のW杯ベスト8入りを期待する声が高まる中、元日本代表MFで、JリーグのY.S.C.C.横浜に所属する松井大輔選手は、2つの試合をどう評価するのか。話を聞いた。
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ドイツ代表とトルコ代表に2連勝したがセットプレーは課題
――今回はドイツ戦、トルコ戦に2連勝し、8得点、3失点。この結果は、どうとらえていますか。
松井大輔(以下、松井) 海外の場合、結果がすべてで、結果が出ていればすべて良いみたいな感じですけど、日本は結果だけではなく、内容もみる。その観点からすると今回は危なげない内容で、結果を積み上げているものも素晴らしかった。ただ、勝っているから問題が見えていないこともあるんで、そこは多少心配するところでもあります。
――課題として挙げられるのは、どういうところでしょうか。
松井 例えばセットプレーですね。今はゾーンで守っていますけど、トルコ戦は大外が見えていなかった状態から折り返されて、ボールを追う感じになって失点した。そこはもっと突き詰めていく必要があるかなと。カタールW杯では得点の30%がセットプレーから生まれています。そこでどんなデザインをして得点を挙げていくのか。そこでいかに失点しないように守備をするのか。W杯前に慌ててやるのではなく、今のうちにやっていた方があとあとラクになる気がします。
――積み上げてきている部分でいうと、どういう点が良かったですか。
松井 ドイツ戦は、ビルドアップがなかなか難しかったのですが、そういう時、ロングボールを入れてセカンドボールを回収し、繋いで攻撃することができていました。これは川崎フロンターレがレアンドロ・ダミアン選手にボールを当てて攻撃するパターンなのですが、押し込まれつつもそうして点が取れましたし、カタールW杯でも機能していたカウンターでも点が取れた。
得点パターンが増えたけど、それは選手の自信も大きいですね。カタールW杯で勝ったという自信と、今、各選手が欧州の舞台でドイツの選手と同じ環境でプレーしているので、怖がる感じがまったくなかった。
日本代表は攻撃の選択肢が広がっている
――カタールW杯の時の課題は、カウンターが主でポゼッションに難があるということでした。そこは今、かなりテコ入れしている感じでしょうか。
松井 今の代表は、ビルドアップをしながらボールをしっかりと保持した上で得点を狙おうというのが、ひとつの大きなテーマになっています。今回はビルドアップで狙いつつ、難しいのであればロングボールを上田(綺世)選手に合わせるとか、状況に応じて臨機応変にプレーしていた。ポゼッションどうこうというよりも、選択肢が広がっているなという印象でした。