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――チームの底上げを実現するには、センターFW以外にどのポジションの選手が必要ですか。

松井 センターバックとGKです。センターバックは冨安(健洋)選手、板倉(滉)選手が安定していますけど、彼らの次ってなるとなかなか思い浮かばない。トルコ戦で町田(浩樹)選手がまずまずのプレーを見せていましたが、彼のような存在がもっと出てこないといけないでしょう。

 ただ、一番の重要なポイントはGKでしょうね。カタールW杯ではPKが多かったんですが、GKはそれをストップする力、ビルドアップへの貢献も含めて、全体的に高い能力が求められます。個人的な意見ですが、世界的には身長が190cm以上ないとW杯などで活躍するのは難しい。さらに若さというよりも30代で安定感と貫禄があればなおいいんですが、Jリーグでは外国人選手がゴールマウスを守るケースが多く、そういう日本人GKが少ないのは大きな課題です。

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――カタールW杯から9か月経ちましたが、チームの総力は上がったと思いますか。

松井 上がっていかないといけないですよね。日本だけじゃなく、海外もどんどんレベルが上がっているので、常にアップデートしていかないといけない。選手個人も三笘選手がプレーで高評価されたり、遠藤(航)選手がリバプールに移籍したように、どんどんステップアップして個人のレベルを上げていけないといけない。そのためには、日本は個人のパーソナルコーチやポジションの専属コーチをつけて質を高めていくことも重要かなと思っています。

イングランドの強豪・リバプールへの移籍を果たした遠藤航選手 ©JMPA

W杯でベスト8を目指すためには戦力の積み上げが必要

――W杯べスト8は、4年後見えてきそうですか。

松井 ドイツ戦、トルコ戦を見て、選手層が厚くなり、戦術面の進化もありましたけど、これでベスト8に届くかというと、まだまだかなと。選手層でいえば、代表はほとんどが海外組で、彼らの成長も欠かせないですが、Jリーグからもそういう選手がもっと出てこないといけない。

 トルコ戦で伊藤(敦樹)選手が豪快なゴールを決めましたが、彼のようにいきなり欧州のピッチに立っても当たり負けせず、普通にプレーするというのはなかなかできないこと。Jリーグの選手のレベルも上がっていると思えたので、そういう選手がもっと出て来て、突き上げていってほしい。そして、どんどん戦力を積み上げていくことがベスト8を目指す上で大事になってくると思います。

――カタールW杯では川島永嗣選手、長友佑都選手らベテラン勢の存在がクローズアップされました。松井選手が出場した南アフリカW杯でも川口能活さん、稲本潤一選手といったベテラン勢が大きな役割を果たしました。予選や親善試合では、彼らの存在はまだ必要ないかもしれないですが、次のW杯の舞台では、彼らのようなベテランはチームに不可欠だと思いますか。

松井 絶対に必要ですね。経験がある選手は、雰囲気はもちろん、目に見えない部分でもすごく力になるんです。南アフリカの時は能活さんが選手側の話を聞いてくれましたし、俊さん(中村俊輔)もチームを支えてくれた。そういう選手がいないとW杯では戦えないし、チームはまとまらない。

 年齢的に、次は、ハセ(長谷部誠)でいいかなと思います。カズさん(三浦知良)もいい。ベテランで貢献というよりも、ちょっとシンボル的な感じになってしまいそうですけど(苦笑)。ベテランの存在の重要性は岡田(武史)さんが代表監督だった時から森保さんも継続しており、そのことはよく分かっていると思います。

取材・文=佐藤俊