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 路面電車に乗って10分ばかりで辛島町という停留場。ここではもうひとつの運転系統と乗り継ぐことができる。かの夏目漱石が降り立った駅として名を馳せる上熊本駅前と健軍町を結ぶ系統だ。そして、この停留場で降りるとすぐ西側には「SAKURA MACHI Kumamoto」という大きく新しい商業施設がある。

 

 もともとは熊本県庁があり、移転後にバスターミナルになって、それを再開発してバスターミナルと併設の商業施設になった。2019年に完成したばかりで、熊本の新しいランドマークといっていい。

 そして東側にはアーケード。新市街、と名付けられた一帯で、熊本駅側からみたらこのあたりが熊本繁華街の入り口、ということになる。

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白川沿いの小さな集落“隈本”がどうしてこれほど人を集める町に?

 アーケードの中は、とにもかくにも大賑わいだ。……といっても、町を歩いたのは平日の午前中。まだ開けていない店もあるし、みなさんお仕事をしている時間帯だから人通りは少ない。

 

 時間を改めて夜が更けてから歩いてみたが、そのときはさすがに溢れんばかりの人また人。アーケードの脇にはいくつもの路地があるが、路地沿いにもたくさんの飲食店が並んでいる。熊本の町の中には、アーケードを中心として裏道も活気溢れる巨大な繁華街が広がっているのだ。

 

 ちなみに、「こんど熊本に行くんです」などと話すと、決まって「ああ、いいですねえ、やっぱり行くんでしょおおう?」と目を煌めかせて身を乗り出すおじさんがいる。彼らが意図していることは、オトナのお店。俗にいえばソープランドだ。熊本は、知る人ぞ知る、ソープランド街で有名な町でもある。そんなオトナのゾーンは、アーケードのある繁華街の南西側一角。繁華街らしさが途切れて視界が開けたと思ったら「無料案内所」の看板がやたらと目に付くようになるからすぐにわかる。

 まあ、今回はそんなところは目的地ではないので、横目でちらっと見るだけにして先を急ごう。

 アーケード繁華街エリアの北側、電車通りの西端からは、熊本城の天守閣がよく見える。つまり、天守閣を見ながら走る路面電車、そして両脇にはアーケードの入り口があって、鶴屋百貨店、といういかにも熊本らしい風景が見られるというわけだ。

 

 電車通り沿いには熊本市現代美術館があったり、あとは周辺にはいくつもホテル。もう、ここに来たら熊本は充分に味わったといっていいのではないかとすら思う。

 ところが、歴史を見るとこの繁華街ゾーン、かなり最近になって繁華街が形成されたエリアなのだ。