あいつに会いに、熊本に行ってきた。あいつとは、そう、くまモン先生である。実際は別にくまモンに会いに行ったわけでもないのだが、とにかく熊本の町にはあちこちにヤツがいる。
新幹線で熊本駅に着いて、ホームから階段を降りてコンコースに出ると、そこにいきなりくまモンの頭がドーン。改札を抜けても、駅の出入口の脇にくまモン先生。そこから町中に繰り出して熊本の市街地を歩くと、そこかしこにあいつがいて、こちらを見つめてくるのだ。もう、熊本の町中を歩くなら、くまモン先生の呪縛から逃れることは決してできない。だから、あまり気にしないで、熊本の町を歩くことにしよう。
熊本県熊本市は、九州では福岡市・北九州市に次ぐ人口約74万人の大都市だ。歴史をたどれば、言わずもがなの肥後熊本藩の城下町。町のシンボル・熊本城は、賤ヶ岳の七本槍で名を馳せた加藤清正が築いた城である。
加藤さんは清正の子の忠広の時代に改易されてしまい、それからは細川氏が入って江戸時代を通して熊本を治めた。その藩主家の末裔の細川護熙が熊本県知事から総理大臣にまでなったあたりは、日本という国は江戸時代からさほど進んでいないのかもしれない。
2011年には九州新幹線が熊本駅に乗り入れ、さらに2012年には政令指定都市に移行した。西では有明海(島原湾)に面しているし、東側では市域を少し出たところに熊本空港がある。そのさらに先には阿蘇カルデラの外輪山があって、もう阿蘇山だ。つまり、熊本という町は、熊本平野の多くを占める、とにもかくにも大都市なのである。
そんな大都市を歩く。が、さすがに広すぎて全容は把握しきれないので、ひとまず熊本の市街地の中心ばかりを歩くことにしたい。出発点は、やはり熊本駅である。
九州新幹線“九州第3の町のターミナル”「熊本」には何がある?
熊本駅は、九州新幹線に加えてその源流である鹿児島本線、そして阿蘇を通って九州を横断する豊肥本線が乗り入れているターミナルだ。
数年前に熊本にやってきたときには、駅前でひたすら何か工事をしていて、駅の全体像は掴めなかった。ただ、さすがにもうすでに工事は完成していて、駅前広場の脇にはアミュプラザくまもとというJR九州系列のビルが聳えていた。広々とした駅前広場の対面にはビックカメラのビルも建つ。