すっかり、新幹線も混むようになった。長く続いたコロナ禍で、何の変哲もない平日の昼間に新幹線が満席になるようなことはまったくあり得ないことだった。事前にきっぷを買わなくても、好きなところに座ることができた。

 ところが、いまや元に戻ったのかどうなのか、きっぷの用意なく駅にいっていちばん早く来る新幹線に乗ろうとすると、場合によっては三列席の真ん中しか空いていない、などということもある。鉄道会社のみなさんにとってはありがたいことだとは思うが、すっかりガラガラの新幹線に慣れてしまったおかげで戸惑ってしまう。そして、やっぱり新幹線は日本の大動脈であるということを、改めて認識するのである。

半年ほど前にできた新しい新幹線、覚えていますか…?

 いま、日本国内を走っている新幹線は東海道・山陽・九州・東北・北海道・上越・北陸、そして西九州新幹線の8路線がある(山形新幹線と秋田新幹線は別枠、ということで……)。最も古いのはもちろん東海道新幹線で、1964年の開業から来年で60年だ。反対に、最も新しい新幹線は西九州新幹線で、2022年9月に開業した。そう、半年ほど前のことである。みなさん、覚えていますか……?

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 西九州新幹線が結んでいるのは、武雄温泉~長崎間の69.6kmだ。新幹線としてはいちばんの短距離路線である。で、ここに来て多くの人が疑問を抱く。長崎は誰もが知っているけれど、武雄温泉駅っていったいどこですか、と。

西九州新幹線“ナゾの終着駅”「武雄温泉」には何がある?

 そもそも西九州新幹線は、新鳥栖駅で九州新幹線と分岐して佐賀平野を横断して武雄温泉・諫早などを経て長崎に向かう新幹線として計画されたものだ。そのうち、新鳥栖~武雄温泉間はいろいろあってまだ着工の目処もたっていないので、先だって開業させたのが今回の武雄温泉~長崎間なのである。

 距離が短いというのにはそういうワケがある。そして武雄温泉という、いささか知名度の低い駅がターミナルになったのも、そういうワケなのだ。

今回の路線図。長崎からの69.6kmを西九州新幹線が結ぶ

博多から約1時間…いざ「武雄温泉」へ

 

 そうなれば、武雄温泉駅がどういう駅なのか、行ってみるべきである。そこで博多駅から特急「リレーかもめ」に揺られて約1時間。武雄温泉駅に着く。