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西九州新幹線“ナゾの終着駅”「武雄温泉」には何がある?

佐賀県には何がある?#1

2023/04/24

genre : ニュース, 社会,

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「リレーかもめ」とはその名の通り新幹線とのリレー特急で、武雄温泉駅では「リレーかもめ」と新幹線の「かもめ」が同じホームに停まる。そのままホームの反対側に停まっている列車に乗れば、特に面倒な乗り換えの手間なく長崎に連れて行ってもらえるという仕組みだ。これは、九州新幹線が新八代~鹿児島中央間で部分開業したときにも使われた方法で、JR九州お得意のやり方といっていい。

 が、今回の目的は長崎ではなく武雄温泉駅だ。だから、真向かいの新幹線に乗り込むわけにはいかない。階段を降りて改札を抜け、武雄温泉の駅の周りを歩くことにする。

 

 もとより、武雄温泉駅は新幹線に合わせて開業した新駅ではない。歴史はなかなかに古く、1895年に開業している。当時は武雄駅といい、1897年に早岐駅まで延伸する2年の間は終着駅だった。

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 そのときの路線はもちろんいまも続いていて、江北~佐世保間を結ぶJR佐世保線だ。つまり、武雄温泉駅には令和になって初めて新幹線がやってきただけのことで、100年以上の歴史のほとんどは佐世保線だけが乗り入れる小さな駅だった。

改札口を抜けるとすぐ右手に小さな階段が…

 実際、新幹線の立派なコンコースと改札口を抜けると、すぐ右手に小さな階段がある。その先には観光案内所と在来線の改札口が置かれていた。

 
 

 実はこの武雄温泉という駅は、新幹線が来たおかげでちょっとややこしいことになっている。

 もとは在来線の佐世保線だけの駅だったのに、新幹線がやってきてそこでは特急「リレーかもめ」と新幹線「かもめ」の同一ホーム対面乗り換えなどという荒技を繰り出したおかげで、新幹線接続の特急は新幹線改札内のホームから、そのほかの普通列車や特急(たとえば博多~佐世保間の「みどり」など)は在来線改札内のホームから発車することになったのだ。これ、地元の人にとっては結構分かりづらいのではないかと、勝手に案じてしまう。

 いつまでも小さな駅の中をうろうろしていても仕方がないので、外に出てみよう。