文春オンライン

ヴェンダース監督が語る、なぜ“冴えない中年男性”を主人公にするのか「当時はただの愚かな若い男だった」「(役所)広司の演技のおかげで…」

岡村靖幸×ヴェンダース

2023/12/22
note

――2023年は小津安二郎生誕120周年でもありますね。

ヴェンダース メモリアルイヤーにこの映画が公開されることはとてもうれしいことだと思う。

なぜ冴えない中年男性を主人公にするのか?

――ところで、監督の映画は、『ベルリン・天使の詩』(87年)を筆頭に、ちょっと冴えない中年男性が主人公の物語が多いように感じます。おっしゃったように、モダンな女性との対比という部分もあったりするのでしょうか。

ADVERTISEMENT

ヴェンダース 『ベルリン・天使の詩』の主人公は天使だから、正確にいえば違うんだけど(笑)。でも、彼が人間になるときは冴えない中年男性であるのは確か。なんでだろう。成功している人の物語を作るのはすごく難しいからじゃないかな。どうすれば成功するのか僕自身が想像つかないんだ。

 

……あ、でもドキュメンタリーで撮った人で1人いる。『ローマ法王フランシスコ』(18年)。彼は、ある意味では成功者だ(笑)。

 ただ、フィクションのキャラクターとしては、成功している人はつまらない。人生に躓いたりするから物語が面白くなる。成功は魅力的ではない。間違っているかな?(岡村ちゃんを指し)僕は彼の映画を撮ったほうがいい? 彼は成功してる人?

――日本のポップミュージック界の成功者です。ただ、悩み多き人であり、独特の世界観の詞と曲は唯一無二。熱狂的なファンがたくさんいます。そして、あらゆる楽器を演奏し、歌って踊れるエンターテイナーでもあります。

ヴェンダース ほお、ダンスもうまいんだ。それで赤い靴が似合っているんだね(笑)。

※作中で挿入された音楽をめぐる秘話や、仕事のパートナーでもある愛妻との関係、老いと映画製作についてなど、全文は『週刊文春WOMAN 創刊5周年記念号』でお読みいただけます。

Wim Wenders
1945年デュッセルドルフ生まれ。『パリ、テキサス』(1984)でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、世界的に名声を得る。『ベルリン・天使の詩』(1987)で同監督賞を、『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』(1993)で同審査員特別グランプリを受賞。

 

Yasuyuki Okamura
1965年兵庫県生まれ。音楽家。86年デビュー。NHK-FMとNHKラジオ第一で不定期に放送されたラジオ番組を書籍化した『岡村靖幸のカモンエブリバディ』(双葉社)が発売中。11月11日より「岡村靖幸 2023→2024 WINTER TOUR」を開催中。

photographs: Takuya Sugiyama

ヴェンダース監督が語る、なぜ“冴えない中年男性”を主人公にするのか「当時はただの愚かな若い男だった」「(役所)広司の演技のおかげで…」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春WOMANをフォロー