28日、世界3大映画祭の「カンヌ国際映画祭」で男優賞に輝いた役所広司(67)。日本人が知らない「フランスが見た役所広司」の魅力とは――。
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世界が讃えた「日本の伝説的な俳優」
フランスで開かれた第76回カンヌ国際映画祭で、「PERFECT DAYS」(パーフェクト・デイズ)の役所広司が男優賞に輝いた。日本人としては柳楽優弥以来19年ぶり2人目という快挙だった。
役所の実績に対して評価が遅すぎたと言えるかもしれない。受賞を報じた映画業界誌ハリウッド・レポーターのTwitterは「日本の伝説的な俳優」と称えていたが、26年前、最高賞パルムドールを受賞した「うなぎ」(97)では今村昌平監督の代理を務めた役所が、ついに自分のための盾を受け取った。
「Shall we ダンス?」(96)や、「バベル」(06)など多彩な顔を持つ名優は、67歳にして人生最大の賞を手に入れたのだ。
監督は「ベルリン・天使の詩」(87)などで知られる、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース。役所は今作で東京・渋谷のハイテクトイレの清掃員として働く寡黙な男性、平山を演じる。平山は下町の古いアパートと渋谷を、手作りの清掃道具を満載した車で往復しながら、丁寧に仕事をし、植物とカセットテープと文庫本を愛し、毎日満足げに眠りにつく。週に一度、浅草のスナック(女将役は石川さゆり)で飲むことが最大の贅沢だ。
ヴェンダースと役所にカンヌでインタビューした際、ヴェンダースは「コウジさんは私の笠智衆です」と語っており、ヴェンダースが私淑する小津安二郎の名作「東京物語」(53)で笠智衆が演じた役名も「平山」だった。今作はいわばヴェンダースが作り上げた「東京物語」なのだろう。