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74回目の紅白歌合戦

「3人だから乗り越えられた」伝説の解散宣言を経て…元キャンディーズ・伊藤蘭が感じていた“世間の空気”《紅白出場》

「3人だから乗り越えられた」伝説の解散宣言を経て…元キャンディーズ・伊藤蘭が感じていた“世間の空気”《紅白出場》

2023/12/31
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 2019年になって歌手活動を再開し、アルバム『My Bouquet』でソロデビューする。2021年には2ndアルバム『Beside you』を発表、これに合わせたツアーでは特別追加公演として、キャンディーズの解散宣言をした日比谷野音でコンサートを行っている。

 コンサートではキャンディーズ時代のナンバーも披露する。ただし、伊藤をプロデュースする作曲家の佐藤準によれば、《蘭さんがキャンディーズの歌を披露する時は当時の自分が担当したパートだけを歌うことにこだわります。ミキさんやスーさんの部分は代わりにコーラスの人たちが歌う》という(『週刊文春』2023年11月16日号)。彼女のなかにはいまでも、キャンディーズの曲を歌っているときは2人が横にいるという意識があるのだ。

いまなお続くキャンディーズの友情

©文藝春秋

 もっとも、2019年の最初のソロツアーに際し、伊藤は歌詞も振付も忘れていたので、慌てて藤村美樹に助けを求めたとか。最初は「わかった!」と頼もしく応じてくれたミキだが、いざ音楽が流れ始めたら、彼女も忘れていたらしい。《でもそのおかげで、ふたりで一緒に昔の映像を観ながら練習するという至福の時間を過ごすことができました》という(『婦人公論』2021年9月28日号)。

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 キャンディーズのもう一人のメンバーである田中好子は残念ながら2011年に他界した。歌手復帰時のインタビューで伊藤は、《『スーちゃん、何でいないの?』『一人にしちゃってごめんね』と思うときもあります。でも、今でも私の心と体の中に、彼女は確かに生きているので》と、彼女への思いを語っていた(『週刊現代』2019年6月1日号)。

 今年の紅白では趣里と親子での共演も期待されたが、スケジュールが合わず実現しないようだ。筆者としては、今年16回目の紅白出場を決めたPerfumeとの共演に期待したい。Perfumeは、大里洋吉がキャンディーズの解散を見届けたあとに設立した芸能事務所・アミューズに所属する。同じ女性3人組とあって、大里からは「平成のキャンディーズになれ」と言われてきたという。たしかにキャンディーズとは、3人の個性がはっきりしていること、ライブを重視してきたことなど、共通点が多い。それだけに、この機会に大先輩である伊藤と並ぶのをぜひ見てみたいところである。

「3人だから乗り越えられた」伝説の解散宣言を経て…元キャンディーズ・伊藤蘭が感じていた“世間の空気”《紅白出場》

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