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「ご遺族の皆様、本当に申し訳ありませんでした」“ヤクザ社会に飲み込まれて”一般人3人を殺害…「前橋スナック銃乱射事件」実行犯が改心した瞬間

「ご遺族の皆様、本当に申し訳ありませんでした」“ヤクザ社会に飲み込まれて”一般人3人を殺害…「前橋スナック銃乱射事件」実行犯が改心した瞬間

『死刑囚になったヒットマン』より #2

source : ノンフィクション出版

genre : ライフ, 社会

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 それが五十嵐の親分の部屋住み兼運転手の始まりでした。5年ほど務めて、その後幸平一家本部の部屋住みを1年務めて、それから幸平一家12代目総長の築地久松総長の運転手を4年ほど務め、また五十嵐の親分の指名で、五十嵐の親分の部屋住みを2年ほど務めました。そして、やっと解放されたかと思ったら、今回の事件(前橋スナック銃乱射事件)でした。

 ようやく自分のことができると思い、ゲーム喫茶を出し、ようやく軌道に乗ってきたかと思い出したところ、いろいろな襲撃事件に駆り出され、大怪我をしたにもかかわらず使い回され、そして事件を起こし逮捕され、裁判にかけられ死刑判決が下されたのでした。

キリストとの出会い

 そんな頃、「罪人の友」主イエス・キリスト教会の進藤龍也牧師が、東京拘置所にわざわざ面会に来てくれました。

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元ヤクザの進藤牧師(本人のInstagramより)

 実は進藤牧師とは、お互い少年ヤクザだった頃、占有物件の占拠に駆り出された時、顔を合わせているのです。私の代わりに引き継ぎにやってきた進藤牧師が住居侵入で逮捕されたのです。

 そのようないきさつがあり、面会に来てくれたのです。

 進藤牧師は、「天国への片道切符を持ってきたよ」と言っていました。始めは何を言っているのかさっぱりわかりませんでしたが、それ以来文通をするようになり、だんだんわかるようになってきました。

 ある日「聖書を一度読んでみませんか? チャレンジ!!」という手紙をいただきました。そして私は、「チャレンジするから聖書を送ってくれ」と厚かましい返信をしました。

 すると後日、聖書が送られてきました。それがキリストとの出会いでした。そして私は毎日少しずつ読んでみました。読んでいくうちにぐいぐい引き込まれていく感じがしました。

「すごいなあキリストって、すごいなあ聖書って」と、素直に思いました。

 また、私のような犯罪者でも同じ人間として見てくれる、キリスト教っていいなぁと思いました。そこで私は「クリスチャンになろう!!」と強く思いました。

 そして進藤牧師とは、昔のことがあるので(ヤクザだったため)、死刑が確定してから、面会は許可されなかったので、代わりにクリスチャン弁護士の平塚雄三弁護士に面会に来てもらい、平塚先生に信仰告白の祈りを見届けてもらいました。

 平塚先生は「おめでとう」と言ってくれました。

 こうして晴れてクリスチャンになり、今は毎日事件で亡くなられた方々や、ご遺族のために祈らせてもらっています。私は、主イエス・キリストに拾われました。進藤牧師と知り合いだった私はとてもラッキーです。進藤牧師に感謝、感謝です。

 今は、クリスチャンになりました。そして亡くなられた方々のために毎日神様に祈らせてもらっています。亡くなられた被害者に、私のできることと言えば神様に祈ることくらいしかありません。ただただ、ご冥福を祈るばかりです。これしか言葉が見つかりません。

 ご遺族の皆様、本当に申し訳ありませんでした。

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