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自宅に石を投げられ、玄関前には鳥の死骸が…性犯罪者と誤解された独身男性が味わった"地獄のような日々"

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会

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昨今起きている事件でも、女性が殺害された事件ではアイドルを、銃が使用された事件では、犯人は戦闘ものの作品を好んでいたといった偏向報道が繰り返されているが、いずれも男子なら興味を抱くような作品であり、犯行に大きく影響しているかは疑問である。

性犯罪とは人を支配し、屈辱を与えることであり、性犯罪者となってしまった人々のなかには、過去に容姿をからかわれ、いじめられたり、性暴力を受けたりして育つなど、屈辱的な体験によって心に傷を負っている人々も少なくない。差別や偏見はむしろ、加害者を生む要因となり得るのである。

犯罪が差別を生み、差別が新たな犯罪を生むという悪循環を断つには、声を上げにくい男性の被害に耳を傾けることも不可欠である。

阿部 恭子(あべ・きょうこ)
NPO法人World Open Heart理事長
東北大学大学院法学研究科博士課程前期修了(法学修士)。2008年大学院在籍中に、社会的差別と自殺の調査・研究を目的とした任意団体World Open Heartを設立。宮城県仙台市を拠点として、全国で初めて犯罪加害者家族を対象とした各種相談業務や同行支援などの直接的支援と啓発活動を開始、全国の加害者家族からの相談に対応している。著書に『息子が人を殺しました』(幻冬舎新書)、『加害者家族を支援する』(岩波書店)、『家族が誰かを殺しても』(イースト・プレス)、『高学歴難民』(講談社現代新書)がある。
自宅に石を投げられ、玄関前には鳥の死骸が…性犯罪者と誤解された独身男性が味わった"地獄のような日々"

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