「(現体制は)やってることがめちゃくちゃ。問題をすり替えて、冤罪をデッチ上げた。問題ないことに火をつけて黒だということにして、改革反対派が改革派を全部すっ飛ばした。単純な話なのよ」
記者の直撃にこう電話口で捲し立て、NHKの現経営陣を痛烈に批判するのは、前会長の前田晃伸氏(79)だった――。
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前田氏が手書き・実名で投じた中期経営計画への意見書
1月9日、NHKは24年度から3年間にわたる中期経営計画を発表した。しかしその後の記者会見で質問が飛んだのは、計画そのものよりも、寄せられた「ご意見」についてだった。
「冤罪デッチ上げ」「(NHKで)内部抗争はDNA化」「外部から来た経営トップが、内部抗争の一方に手を貸すことは、異常」などの強い言葉の「ご意見」を寄せ、現経営陣を批判したのは、前会長の前田氏だった。昨年10月、NHKが中期経営計画案に対して募集したパブリックコメント(一般からの意見募集)に前田氏は手書き・実名で意見書を投じたのだ。
「前田氏が怒るのには理由がある」と明かすのはNHK関係者だ。
「前田氏は20年に会長就任以降、コスト削減のために人事制度や訪問営業の手法に手を入れる大改革を断行した。しかし古参社員のリストラも辞さないやり方に現場からは不満が噴出。23年に元日銀理事の稲葉延雄氏(73)が会長に就任後は『改革の検証と発展』をスローガンに前田改革の見直しが進んでいます」
極めつけは、前田氏の退任後発覚したBS(衛星放送)番組のインターネット配信をめぐる問題だった。