NHKが2020年度から2年足らずの期間に、コンサルティング企業6社に対し、総額49億円を支払っていたことが「文藝春秋」特別取材班の取材で明らかになった。

「文藝春秋」特別取材班はB4判3枚の内部資料を入手。そこには〈2か年(2020年・2021年)取引高上位6業者の件名と組織と金額〉と書かれている。

 この〈上位6業者〉とは、ボストン・コンサルティング・グループ、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所、PwCコンサルティング、ガートナージャパン、アクセンチュアの6社だ。2020年度、NHKはこの6社に対し、計約32億円を注ぎ込んでいる。

ADVERTISEMENT

NHK ©文藝春秋

 入手した資料には2021年度11月期までの金額も記載されており、それが約17億円。2年足らずで約49億円もの金額が、コンサル企業に支払われていた。この49億円の原資は、言うまでもなく視聴者から徴収した受信料である。

 資料の「契約内容」欄には各部局によるコンサル企業への1年間の委託案件として、合計100近くもの項目が列挙されている。この資料を見たNHK幹部は絶句した。

「数千万円くらいを想像していましたが、49億円とは……。これはあまりに酷い。一つ一つの委託案件をよく見ていくと、前田(晃伸)会長肝いりの改革案のほとんどがコンサルに委託されていたことが分かります。多額の金額を使ってコンサルに改革を丸投げし、成果が上がっていれば良いですが、NHKの事情を反映していない改革内容が押し付けられている。そのため現場の職員からは不満が噴出しています」

 この文書を見ると、いかに前田改革がコンサル企業と一体になって進められて来たかが分かる。文書には以下の項目がある。

 ●実施局:デジタルセンター

 契約内容:DXに関する業務

 金額:1億2100万円

 ●実施局:デジタルセンター

 契約内容:NHKプラス拡充における実行体制構築支援

 金額:2882万円

 ●実施局:関連事業局

 契約内容:中間持株会社による子会社ガバナンスの強化検討

 金額:6千万5千円

 ●実施局:編成局

 契約内容:経営指標(放送総局関連)の評価・管理支援

 金額:1億4630万円

 ●実施局:経営企画局

 契約内容:国際戦略調査

 金額:1億230万円

 ●実施局:経営企画局

 契約内容:基幹システム刷新に関する支援業務

 金額:5250万円

 ●実施局:五輪事務局

 契約内容:東京オリパラデジタルサービスセキュリティ支援

 金額:2805万円