前田会長に話を聞いた
NHK幹部が語る。
「例えば『国際戦略調査』をはじめ、『調査』と名の付く項目については、NHKには『放送文化研究所』という調査業務を行う自前の機関があるのに、なぜそこに任せないのか。1億円以上もかけて、コンサル業者に丸投げしてしまうのが不思議で仕方ありません」
前田会長はどう思っているのか。10月末に自宅を訪ねて、直接考えを聞いた。
「コンサルは必要なものは使うが、そうでなければ使わない。丸投げしてはダメなんだ。例えば、大規模なシステム改修の際には、自分だけでは解決できないから、そんな時はコンサルの意見は多少の参考程度に聞くさ。要するに自分の頭で95%は考えて、あとの5%が浮かばないときにコンサルの手を借りるんだね。会長就任当初、幹部たちには『所詮はコンサルだ。アイデアは出してくれるが、改革はやってくれないよ』と話したんだ。新たに契約を結んだコンサルもあるが、むしろ減らした契約数の方が多いと思うよ」
まるで他人事のように語る前田会長だが、実情はまるで違う。
NHKのホームページの「契約情報の公表」欄を見ると、何年も前から一定数のコンサル契約を結んでいることが確認できる。前出6社への支払いを一つずつ足していくと、例えば2018年度は約9億円、2019年度は約25億円、そして、前田会長が就任した2020年度は、32億円と増え続ける一方だ。
元NHK経営委員長代行の上村達男氏はこう語る。
「公共放送であるNHKは、『なぜ数十億円規模ものコンサル費が必要なのか』を視聴者に説明できないといけません。これ以上、コンサル依存を深めるのであれば、公共放送の自覚を著しく欠いていると言わざるを得ません」
NHK広報局にコンサル費用について説明を求めたが、「回答は差し控えます」とのことだった。
11月10日発売の月刊「文藝春秋」12月号では、内部資料を基に、NHKのコンサルへの依存体質を詳しく検証している。また受信料値下げをめぐる自民党との“暗闘”、来年1月末に任期を迎える会長人事についても詳報する。
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