文春オンライン

「メイドインインディア」×「日本のテクノロジー」の重要性 インドでも売れ続ける貝印ブランド「KAIグループ」のこだわり

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 商品, テクノロジー, 企業

note

貧富の差が激しいインドでは商品の種類を絞るのではなく、多くの種類を出したほうがいい。それこそ70ルピーの包丁から2500ルピーの包丁(約124円~4500円)まで出すと、幅広くお客さんをつかめるわけです。だから、払える人は2500ルピーでも払う。払えない人でも、料理を作って食べなくてはならないので、70ルピーの包丁を買う。自分の懐に相談して買う人たちから、包丁の値段を気にしない人たちまで多くの層があります。

また、金持ちの家だからといって高級な包丁を買うわけではありません。インドではメイドさんが料理することが多い。主人はメイドさんに高い包丁を買って与えることはしないのです。

爪切りもまた好評です。爪切りは「KAI Tsumekiri」(199ルピー=354円)とあえて日本の名前で売っています。当社の場合、インドでは初めての「くふう」をしています。切った爪を収容するケース、爪のなかを掃除するピックを付けました。

ADVERTISEMENT

インドでは切った爪を散らかすのは縁起が悪いとされています。しかし、これまでインドでは、爪切りはケースのない裸で売っていました。私たちはケースを付けて飛び散らないようにしたのです。インドでは初めて貝印がケース付き爪切りを開発して発売したのです。

歯で切ることなく、爪の中の掃除もできる

もうひとつは爪のなかを掃除するピックです。これも私たちが初めて付けたものです。インド人は右手で料理をつまんで食べます。手で食べる文化ですので、爪のなかにマサラとかスパイスが入ってしまう。小さなゴミも入ってしまう。インドの爪切りは切れ味が悪いので、歯で爪を切る人もいるくらいです。

そこで、ピックを付けて、ほじくりだすようにしました。われわれはこのピック付き爪切りを健康グッズと考えています。そして、家族でひとつではなく、ひとり一個で売ろうとしています。

例えば、みなさん、バスタオルは共有しませんよね? 歯ブラシも共有しませんよね? いくら奥さんを愛していても、「私の歯ブラシを使っていいよ」とは言いません。健康グッズ、衛生グッズですから、ひとりひとりに一個ずつ必要だと紹介しています。