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「自分の中を変えていくのが大好き」女優・橋本愛が書評連載『私の読書日記』を通じて掴んだ「愛」の定義とは《お金の大学、養老孟司、アドラー心理学》

「自分の中を変えていくのが大好き」女優・橋本愛が書評連載『私の読書日記』を通じて掴んだ「愛」の定義とは《お金の大学、養老孟司、アドラー心理学》

橋本愛さんインタビュー #2

source : 週刊文春

genre : エンタメ, 芸能

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連載初期にピックアップしたビジネス書

「私の読書日記」第1回のタイトルは「自分をアップデートするために」だった(週刊文春電子版2022年3月10日配信)。今回の原色美女図鑑で「かつてない橋本愛」を希求したように、彼女は常に変化を追い求めている。

「自分の中を変えていくのが大好きなんですよ。環境の変化は苦手な方なんですけど、自分に関してはすごく柔軟です。これは謙遜ではなく、本当に人としてマイナスからのスタートだったので。幼い頃の私は欠如している部分がとても多くて、それを埋めていかないと生きられないなと感じたんです。そこも沙苗に似ているかもしれませんね。『まともにならなきゃ、社会に適合しなきゃ』って、マイナスをゼロに持って行こうとあがいている。だからこそ、変化が日常化しているのかも」

 

「私の読書日記」初回でも「社会性を身につけようと思い始めた」と綴り、『本当の自由を手に入れる お金の大学』(朝日新聞出版)、『20代を無難に生きるな』(きずな出版)、『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』(総合法令出版)をピックアップしている。

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「あはは、懐かしい! このラインナップ、めちゃくちゃ成功したい人みたい(笑)。このとき、2022年は裏運気といって、今までとは真逆のことをしてしまう運勢だったんですよ。それもあってか、社会について知りたくなったんです。あまりにもお金に無頓着だったので、こうした本を読むことで自分はどうなるんだろうという人体実験でもあって。

 すごかったですよ、もう『カネカネカネ!カネだカネだ!!』モードに入っちゃって。『節約しなきゃ、投資しなきゃ!』とすごく感化されました。……え、今ですか?お金の使い方はもとに戻りました。一回やってみて『私にはちょっと合わなかったかな』って。それを知れたことに意味があったなと思います」

 まだ見ぬ世界へ、自分へと手を伸ばし続けるのは、「役者としてより良い表現をしたい」からでもあるという。

「経験が如実にあらわれますから、私自身がより良くならなくてはいけない。まだまだマイナスな部分はたくさんありますし、それこそ人に見せられないところも盛りだくさんですけど(笑)、だんだんと『ああ、やっとゼロに持って来られたな』『ここは+10くらいに増えたな』と思える部分もあって。育ってきた長所をもっとずっと伸ばしたい。それはすごくワクワクします」

 では、橋本愛にとって「変わらないもの」とは?

「ほとんどないかもしれません。それは私だけでなく、自分を取り巻く世界においてもそうですね。解剖学者の養老孟司先生は、目まぐるしく移り行く時代の中で『変わらないものが欲しい』と探求されていて。それはいったい何だろうと興味はありますが、私自身は変わることを楽しんでいるし、世界の変化も日常。でも地元の友達に会うと『本当、変わんねえな』って言われます。変わっているけど、変わっていない。面白いですよね。対人スキルが進化していないのかもしれないし(笑)、友達という“人と人との間”における自分が変わっていないのかもしれません」

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