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20代で虐待に気づいて両親と絶縁「戸籍の分籍と住民票の閲覧制限を行い…」被害者による“毒親”体験談

『こんな家族なら、いらない。』

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 幼少期から両親による虐待を受け続け、「自分は虐待されていた」と気づくまでに20年余りを要したという漫画家の尾添椿さん。20代で戸籍の分籍と住民票の閲覧制限を行い、両親と絶縁するまでに至った。

『こんな家族なら、いらない。』(イースト・プレス)尾添椿著

虐待被害を受けた8人の人生を描く

 コミック『こんな家族なら、いらない。』(イースト・プレス)は、そんな尾添さんがこれまでに出会った、虐待された友人・知人8人の人生を描いたコミックだ。尾添さん自身の経験は、前作『生きるために毒親から逃げました。』(イースト・プレス)にまとめられている。

「前作『生きるために毒親から逃げました。』は、著者・尾添椿さんがSNSに投稿された漫画から生まれました。その時点でかなり反響がありましたが、本の発売後もSNS等で話題になりました。自身の『毒親』の体験談だけでなく、『分籍』など具体的な親との絶縁方法を描いたことが大きかったと思います。

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 その制作過程で尾添さんのご友人の話をお聞きすることがあり、ご本人以外の体験もかなり衝撃的かつ心に刺さるもので、1冊にまとめることに意味があると考え『こんな家族なら、いらない。』を企画しました」(担当編集者のSさん)

 前作に引き続き、『こんな家族なら、いらない。』の反響もやはり大きかった。

「SNSやレビューを見ていると、『壮絶』『エグい』というものが多かったです。やはり表現としては過激な部分もあり、衝撃は大きいと思います。そのためPTSDの症状を持つ方などはご留意いただくよう注意書きを入れています。

『こんな家族なら、いらない。』より

 一方で『大人がみんな正しいわけではない』『大事にする価値のない親もいることがわかった』というような感想もあり、自身の家族に向き合うきっかけになったと考える読者もおられました」(同上)

母親から暴力を受けた「はるきちゃん」

『こんな家族なら、いらない。』に登場する人物たちの境遇は違い、受けた虐待の内容や家族との関係もそれぞれである。たとえば、第5章に登場する「はるきちゃん」と母親の関係は印象的だ。